「日本人は帰れ」といじめられた幼少期…中国残留孤児出身の女性が大人になり、日本で「カリスマ清掃員」となったワケ

「日本人は帰れ」といじめられた幼少期…中国残留孤児出身の女性が大人になり、日本で「カリスマ清掃員」となったワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

自分は劣っている。自分を肯定できない…。そんな人には言えない苦悩やコンプレックスを子どもに与えているもの、それが「学力」である。未来を生きる子どもたちには、「学力」とは別次元の大切な「物差し」があることを伝えなければならない。今を生きる子どもたちとの「向き合い方」について、都立高校での校長歴・計14年、不登校の高校を改革し、退学者を半減させた経験を持つ、磯村元信氏の著書『さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革』(新評論)から一部抜粋して紹介。今回は、ある修了式で磯村氏が語ったスピーチの内容をお届けする。

行為の意味(修了式・二〇一一年三月)

東日本を中心に巨大な地震と津波が発生しました。戦後最大の自然災害となり、多くの尊い命が奪われ、今も被災地では混乱が続いています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災地の一日も早い復興を願ってやみません。

 

こうした悲惨な状況のなかでも、被災地ではお互いに手を携え、支えあい、助けあい、時には自らの命も省みず、復興の足場を築こうとしています。こうした日本人の姿勢に、今世界中から賞賛の声が上がっています。

 

たとえば、町民を大津波から守ろうと、堤防の水門を閉めに向かったまま行方不明になった消防団のお父さんを探す女子高生の姿がありました。悲しみをこらえながら、「お父さんの行動を誇らしく思う」と、唇をかみしめながら話していました。

 

合唱の全国大会に出場予定だった高校生たちが、その出場を断念して、被災地の避難所で合唱を披露するという光景がありました。『ふるさと』の歌声に、避難している多くの方々が涙を流していました。

 

また、福島の原発事故では、放射能と闘う消防隊員の決死の行動がありました。隊長は「恐怖と闘いながら、自らの使命に身を捧げる隊員の士気の高さを誇りに思う」と涙をこらえて報告していました。

 

まだまだ、極限状態における人間としての誇らしい行為や行動がたくさんあり、今もそれが続いています。昨日もある卒業生が家族で訪ねてきて、「学校を通して、何か被災地の方々にできることはないか」と相談に来ました。そういう思いや心を実際の行為や具体的な行動として形で表すことがとても大切です。

 

気がついている人も多いと思いますが、今、人のために尽す行為の大切さを伝える公共広告機構(AC)のCMが繰り返し流されています。電車で妊婦に席を譲る、階段を上るお年寄りを支える、心は見えないけれど、心づかいは見える、思いは見えないけれど、思いやりは見える、というCMです。このCMは、詩人の宮澤章二(一九一九~二〇〇五)さんの『行為の意味』という詩がもとになっています。

 

宮澤さんは、中学生や子どもたちに向けて多くの詩を残しました。また、全国の三〇〇校あまりの校歌を作詞した人です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、その詩を紹介します。

 

あなたの〈こころ〉はどんな形ですか と ひとに聞かれても答えようがない

自分にも他人にも〈こころ〉は見えない けれど ほんとうに見えないのであろうか
確かに〈こころ〉はだれにも見えない けれど〈こころづかい〉は見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だか

同じように胸の中の〈思い〉は見えない けれど〈思いやり〉はだれにでも見えるそれも人に対する積極的な行為なのだから

あたたかい心が あたたかい行為になり やさしい思いが やさしい行為になるとき
〈心〉も〈思い〉も初めて美しく生きるそれは人が人として生きることだ

(インターネット調べ)

 

みなさんも、自分の温かい心や優しい思いを、ぜひ実際の行為や行動として表してください。

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さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革

さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革

磯村 元信

新評論

学び直しは、生き直し!NHK『クローズアップ現代』などで紹介され話題。 課題集中校の元名物校長が学力神話を吹き飛ばし、真の学びの場とは何かをパワフルにつづる痛快教育エッセイ 「小学校から不登校で、発達障害も疑わ…

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