小中学生の不登校「24万人超」、引きこもり人口「100万人」の元凶…。“大人の都合”で行われている〈学校教育〉の実情

小中学生の不登校「24万人超」、引きこもり人口「100万人」の元凶…。“大人の都合”で行われている〈学校教育〉の実情
(※写真はイメージです/PIXTA)

自分は劣っている。自分を肯定できない…。そんな人には言えない苦悩やコンプレックスを子どもに与えているもの、それが「学力」である。上級学校に進学することが幸せにつながる?大学を出ればいい仕事に就いて成功する?本当に?未来を生きる子どもたちには、「学力」とは別次元の大切な「物差し」があることを伝えなければならない。今を生きる子どもたちとの「向き合い方」について、都立高校での校長歴・計14年、不登校の高校を改革し、退学者を半減させた経験を持つ、磯村元信氏の著書『さらば学力神話:ぼうず校長のシン教育改革』(新評論)から一部抜粋して紹介する。

シン教育改革とは

学校教育には、大きく分けて二つの目的がある。

 

一つは個人の「人格形成」を目指すこと、もう一つは国を支える「人材育成」である。これを両輪として、国は学校教育を司っている。官邸が主導しているSociety5.0の創造社会を切り開くための人材育成は急務である。

 

その一方で、小中学生の不登校が二四万人を超え、高校中退も四万人、そして引きこもり人口は一〇〇万人とも言われている。不登校や退学から引きこもりへ、それが長期化、高齢化して、生活保護世帯の増加が懸念されている。

 

中学生の九九パーセントが高校へと進学し、低学力、貧困、虐待、外国ルーツ、ヤングケアラー、発達障害などといった困難な課題を抱えている高校生が増えている。

 

高校生の多様化が加速する一方で、日本の高校は、普通科志向、進学志向への偏向が一段と強まっている。

 

四則計算のできない高校生、読み書きができない高校生、席に座っていられない高校生、教室に入れない高校生が、「高校」という進学装置から次々とこぼれ落ちている。普通科進学校を暗黙の前提とした教育理想と多様化する高校生の実態、このようなギャップが埋まらないまま教育改革は机上の理想論だけで突き進んでいる。

 

今こそ、目の前にいる生徒の実態をもとにして高校や高校生の再定義を行い、それに基づいて学校教育を柔軟に見直す必要がある。学校ごとに大きく異なる生徒の実態や教育課題に優先順位をつけながら、生徒を第一に考えた現場主導の教育改革という流れをつくることが重要である。

 

それを、「シン教育改革」と私は呼ぶことにした。

逆らわず、従わず

現場の実態を起点とした「シン教育改革」を推進するためには、何よりも、校長が教育委員会の出張所の所長であるかのような立ち位置に陥らないことが重要となる。

 

学校を経営・運営するのは、言うまでもなく校長の権限(もちろん、責任もとる)である。

 

教育行政からの指導・助言には、「逆らわず、従わず」の基本姿勢で、地域の特性や生徒の実態に基づき、学校の果たすべき役割や教育課題に優先順位をつけて、現場での共通理解のもとにボトムアップの改革を推進する必要がある。

 

その際、「生徒第一」の視点から、学校教育における二つの目的を次のように置き換えると分かりやすい。

 

「人格形成」とは、生徒一人ひとりの能力や特性に応じた仕事に就き、社会人として生きていけることであり、国を支える「人材育成」とは納税者を生み出すことである。

 

教育改革のキーワードを達成するための「手段」という改革から、目の前にいる生徒一人ひとりの人生や生活を切り開いていく「目的」という改革への転換、これが「シン教育改革」の目指すところである。

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