校長が“思考をオフにできる”現状
「○○重点支援校」や「○○指定校」といった冠を集めれば集めるほど校長が評価されている。
そして、指定校が終わるとその特色も終わってしまう。よく聞く話である。
校長が代わると学校が変わり、その校長が代わるとまた学校が変わる。いったい誰のための学校改革なのだろうか。
これこそが「手段」のための改革である。繰り返そう、今こそ現場目線で生徒を第一に考えて、学校教育を見直す必要がある。
明治の昔から、学校は地域のランドマークだった。そして、学校教育の不易として、「地域連携」や「地域に根差す学校」というフレーズが求められてきた。それぞれ異なる地域において、目の前にいる多様な課題を抱えた生徒に何をすべきなのか、また何ができるのか。
生徒目線の、現場主導の、ボトムアップの教育改革が求められている現状に異論の余地はないだろう。現場主導の改革では、行政主導のものよりも多くの時間と困難が伴うことになる。
しかし、その時間と困難こそが教員の意識や本気度を高め、それ自体がもっとも効果的な研修となる。もちろん、時には現場を大混乱に巻きこんでしまい、管理職にとってはいばらの道になってしまうこともあるだろう。
一方、教育委員会からマストで舞い降りてくる施策や改革に対しては、現場の校長も教員も「はい」としか答えようがない。
校長の立場からすれば、これほど楽なことはない。
自らの思考をオフにして、「これは教育委員会からの命令なのでやらなければならない」というひと言を伝えるだけですむからだ。
なぜ、うちの生徒に必要なのか、なぜ、うちの学校でやらなければならないのか、なぜ、今それをやるのか―それぞれに対して丁寧な説明をしたり、反対意見に対して説得するという必要がないからだ。