「クレジットカード付帯」の海外旅行保険で注意すべきポイント
◆「自動付帯」か「利用付帯」か
まず、クレジットカード付帯の海外旅行保険には「自動付帯」と「利用付帯」があり、自分のカードの保険がどちらかを確認する必要があります。
「自動付帯」の海外旅行保険は、利用するのに特段の手続きや条件が一切要求されていません。クレジットカードを所持していれば、自動的に利用できます。
これに対し、「利用付帯」の場合、その海外旅行に関する何らかの費用をクレジットカードで支払わなければ、補償してもらえません。たとえば、航空機のチケット代、パックツアーの代金、空港までの交通費等を、そのクレジットカードで支払う必要があります。
複数のクレジットカードを使い分けている場合は、特に注意が必要です。旅行中に病気になって治療を受けた場合に、後述するように数百万円の医療費がかかることがあります。もしも「利用付帯」だった場合、手持ちのクレジットカードでは補償が受けられないことがありえます。
◆補償内容が十分か
次に、補償内容が十分なのかを確認する必要があります。クレジットカード付帯の海外旅行保険は補償内容が決まっているからです。
詳しくは後述しますが、特に、「治療・救援費用」「賠償責任」については、補償内容を充実させる必要があります。
もしも、補償が不十分である場合は、別途、損害保険会社等の海外旅行保険に加入する必要があります。
補償内容で特に注意すべきポイント
海外旅行保険の補償内容には、「絶対必要な補償」と「人によって必要性が異なる補償」があります。「自動付帯」か「利用付帯」かを問わず、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償内容で真っ先にチェックしたいのは、「絶対必要な補償」がどの程度備わっているかということです。
絶対必要な補償は、以下の2つです。
【絶対必要な補償】
・治療・救援費用
・賠償責任
それぞれについて説明します。
◆治療・救援費用の補償
まず、「治療・救援費用」の補償です。これは、渡航先で病気になったりケガを負ったりして治療を受けた場合の治療費や、家族が現地に駆け付けるための渡航費用等をカバーするものです。
限度額(保険金額)の範囲内で、治療費の実費が支払われます。
保険会社によって、提携医療機関が多いエリアと、手薄なエリアが異なります。したがって、目的地のエリアで数多くの医療機関と提携している保険会社を選ぶことをおすすめします。
また、保険金額は「2,000万円」以上に設定することをおすすめします。なぜなら、海外では日本の健康保険は適応外であるため、数百万円、数千万円の治療費を請求される可能性があるからです。
日本損害保険協会のデータによると、虫垂炎(盲腸)で入院して手術を受けた場合、治療費はアメリカのホノルル(ハワイ州)、ロサンゼルス(カリフォルニア州)では200万円を超えることがあります。物価が比較的安いイメージのある(最近は違うようですが…)タイのバンコクでも50万円を超えることがあります。
これは一例にすぎません。たとえば、新型コロナウイルスにかかって人工呼吸器を使ったり、集中治療室に入ったりした場合には、さらに高額な治療費がかかると想定されます。
それを考慮すれば、治療・救援費用の保険金額は2,000万円以上に設定しておくことをおすすめします。
なお、日本には「海外療養費制度」の制度がありますが、「日本で同じ治療を受けた場合にかかる治療費」の相当額と「健康保険適応の場合の自己負担額」との差額を受け取れるものにすぎません。これだけでは賄いきれない可能性が高いといわざるを得ません。