写真提供:永峰昌治建築設計事務所 写真:百武てつご

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「断熱性能」「気密性能」。高性能な住まいを考えるのであれば、絶対に必要な視点だといいます。住まいづくりのプロによる解説です。

今後重視される「炭素貯蔵量」と「建築時CO2排出量」

1~3階建てで、性能にこだわるのであれば、木造の一択なのですが、今後さらに、脱炭素化の流れが、木造の優位性を高めることになると思われます。それが、「炭素貯蔵量」と「建築時のCO2排出量」です。

 

林野庁は令和3年に、「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」を公表しています。

 

森林が吸収した炭素を貯蔵している木材を、国内における⽊材の主な⽤途である建築物等において利⽤を進めることは 、「都市等における第2の森林づくり」として、2050年カーボンニュートラルの実現など地球温暖化防止への貢献が期待されています。

 

2019年の森林吸収量実績のうち木材利用による効果は約380万t-CO2であり、木材利用の促進は更なる森林吸収量の増加に繋がることが期待されます。

 

⽊材利⽤の⼀層の促進を通じた地球温暖化防止を図るため、建築物に利⽤した⽊材に係る炭素貯蔵量を国民や企業にとって分かり易く表⽰する方法を示したのがこのガイドラインです。

 

また、脱炭素の流れの中で、住宅・建築業界においても、「調達・製造」「施工」「運用・居住」「解体・廃棄」といったサプライチェーン全体での取り組みが重視されており、「調達・製造」から「施工」においては、「建築時のCO2排出量」が大きな要素となってきます。

 

【図表8】にあるように、木造住宅は、炭素貯蔵量・材料製造時の炭素排出量とも、他の構造に比べて優れた数値を示しています。

 

【図表8】
【図表8】

 

国際的に、今後よりいっそう脱炭素への厳しい取り組みが要求されることが不可避な状況にありますから、木造化の流れがより一層進むものと思われます。これから住まいづくりをされる方は、これらのことを踏まえたうえで、信頼できる高性能住宅を建てている工務店・ハウスメーカーを選んでいただき、快適で暮らしやすく、資産価値が高い住宅を手にしていただければと思います。

 

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