規制が進んでも「強制労働」がなくならないワケ
こうした問題に各国政府も規制や監督の強化に乗り出しています。
米国は中国・新疆からの全製品を強制労働によるものと見るウイグル強制労働防止法を2022年6月に施行。欧州各国は「現代奴隷法」を制定しました。また、欧州連合(EU)は2022年2月に企業に人権・環境デューデリを義務付ける指令案を発表しています。
日本でも経済産業省が2022年8月、企業が人権対応を進めるための指針として「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を掲げています。
鉱業や金属、再生可能エネルギーといった業界はこうした規制の最初のターゲットになるでしょう。ただ、規制を設けたからといって、強制労働が急速に減少するとはいえないところに問題の複雑さがあります。
その要因の1つが地政学的な動きです。再生可能エネルギーの利用拡大や、軍事技術の進歩により、一部の鉱物に対する需要は拡大しています。こうした流れが強まるにつれ、鉱山業界で働く労働者、特にサプライチェーン上で最も遠い場所で働く人々には、人権が脅かされる危険が増しています。
労働者の人権を守るために、投資家ができること
ESGを意識する投資家は、こうした企業が投資対象に含まれる事態を把握しておく必要があるはずです。では、どのような取り組みが有効なのでしょうか。
大切なのは投資候補となりうるすべての企業について、現代奴隷に関するリスクを評価する強力な仕組みを構築すること。たとえば、ファンダメンタル分析と外部の専門機関によるリサーチを組み合わせれば、企業や業界に優先順位を付けることが可能になります。
アライアンス・バーンスタインでは独自に、「リスクに対してぜい弱な人々」、「リスクの高い地域」、「リスクの高い製品やサービス」、「リスクの高いビジネスモデル」という4つのリスク要因に基づいたフレームワークを構築しています。
加えて、エンゲージメントは企業に理解をもたらします。資産運用会社の知見を通じた対話の積み重ねを通じて、リスクを軽減できる可能性があります。
投資家は資産運用会社のフレームワークや適切なリサーチ、企業とのエンゲージメントを通じ、ポートフォリオにおけるリスクを把握することができます。それは同時に、現代奴隷のリスクをもたらす業界や会社の慣行を改善し、最終的には、多くの労働者の安全性の向上につながるはずです。
臼井 はるな
アライアンス・バーンスタイン株式会社
責任投資ヘッド
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