(※写真はイメージです/PIXTA)

年間110万円までの贈与は原則非課税とされていますが、富裕層を中心に「年110万円は少額すぎる!」と不満をもっている人も少なくありません。そこで今回、贈与税を大幅に圧縮可能な「生前贈与スキーム」について、税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏が解説します。注意点やリスクとあわせて、みていきましょう。

贈与税の負担が軽くなる「不動産小口化商品」

――生前贈与のメリットと注意点は分かりましたが、「不動産小口化商品」を生前贈与に活用するメリットはどんなものがありますか。

 

黒「不動産小口化商品を用いた生前贈与は、現金での贈与に比べて贈与税の負担が軽くなることがメリットです。

 

贈与税の計算をする際、不動産は土地と建物に分けて評価が行われます。その際

 

・土地を「路線価」で評価すると、実際の取引価格の8割程度の評価額

・建物を「固定資産税評価額」で評価すると、実際の取引価格の7割程度の評価額

 

になります。

 

さらに、誰かに貸し出している不動産は、贈与税を計算する際の評価額がさらに低くなり、土地は8割程度、建物は7割程度の計算になります。

 

そして先ほどお伝えしたように、不動産小口化商品は実物不動産を所有している場合と同じ評価方法になるので、こうした税制は不動産小口化商品にも適用されます。

 

つまり、贈与税の基礎控除110万円を超える資産価値を持つ不動産小口化商品を贈与しても、現金で贈与する場合より税負担が軽くなる、ということです」

 

生前贈与での小口化商品の「威力」

――では、具体的にはどれほど節税効果があるんでしょうか。

 

黒「では、お子さんに生前贈与する際、500万円を現金で贈与する場合と、500万円相当の『不動産小口化商品』を贈与する場合で比べてみましょう」

 

出典:国税庁
出典:国税庁

 

黒「ご覧いただいているのは、直系尊属から18歳以上の者(子・孫など)へ贈与した際の贈与税の速算表です。

 

まず、現金500万円の贈与を行った場合ですが、基礎控除110万円があるので、まずこれを差し引きます。差し引き後の課税価格は390万円となり、税率15%が適用になります。計算式は

 

390万円×15%-10万円(控除額)=48.5万円

 

となり、1人当たり48.5万円の贈与税が課されます。もし2人の子供に500万円ずつ贈与したら、贈与税で100万円近い負担になるんですね。

 

一方、500万円相当の『不動産小口化商品』の贈与を行う場合です。先ほど見たように評価は7割減になることもあるので、評価額150万円とします。基礎控除110万円を差し引いた後の課税価格は40万円なので、税率は10%になります。計算式は、

 

40万円×10%=4万円

 

になり、贈与税は4万円になります」

 

――4万円で済むんですね。これを10年繰り返したら、現金の場合と約450万円もの差が出てきますね。

 

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次ページ不動産小口化商品のデメリット・気を付けるべき点

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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