消費税増税で財政の均衡が図れても「意味がない」ワケ
またこのお客さんの減少(総需要の減少)によって、それ以外にも日本社会では様々な問題が起こり始めています。デフレ、人手不足、中小企業の低収益化、年金問題、貧富の差の拡大等……。そして、財政の悪化も、その発生している問題の一つなのです。
日本の現在の状態を「風邪」に例えるならば、財政悪化は風邪による咳などの諸症状でしかなく、緊縮財政は単に咳止めの薬を飲んでいるだけでしかありません。しかし、日本経済を健康な状態に戻すためには、まず風邪(少子高齢化)そのものを治療しなければならないのです。
その証拠に、二〇〇〇年から現在までの日本経済の推移を詳しく見てみると、日本の財政を悪化させている原因は、間違いなく毎年増大し続けている社会保障費です。
これを補うためには、日本は最低でも年率2.0%の経済成長が必要なのですが、残念ながら少子高齢化による人口減少が、今後、日本の経済成長の重い足かせになっていく事は間違いありません。
このため、たとえ一気に消費税を増税し一時的に財政の均衡が図れたとしても、人口減少によりGDPが減り続け、反対に社会保障費が増え続ければ、いずれ再び借金体質に戻ってしまう経済構造に、日本はいつの間にかなってしまっていたのです。
このため、国の財政を立て直すためには緊縮財政ではなく、まず日本の少子高齢化を何とかしなければならないのです。
**********
大山 昌之
1972年8月1日名古屋生まれ。
1998年、コロムビア観光株式会社に入社。おもに会社の管理運営、及び、財務を担当し、2012年に代表取締役社長に就任。