(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書作成には費用がかかります。弁護士に依頼すると20~50万円が費用の相場ですが、自分1人で作成するとしたらいくらなのでしょうか? 相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

「遺言書」とは?

遺言書とは、遺言者である自身の亡きあとに、自分の財産をどのように配分するかなどをあらかじめ決めておく文書です。遺言書は非常に強い効果を発揮するため、作成の方法が厳格に定められています。遺言書を作成する方法は、主に次の3つです。

 

なお、このうち秘密証書遺言はあまり利用されておらず、ほとんどが自筆証書遺言もしくは公正証書遺言で作成されています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、全文を遺言者本人が自書して作成する遺言書です。 全文と日付、氏名を自書し、捺印をして作成します。もっとも手軽な遺言方法である一方で、遺言書が要件を満たさず無効になるリスクや偽造や隠匿されてしまうリスクがある点がデメリットです。

 

2.公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人の関与のもとで作成する遺言書です。遺言者が希望する内容に応じて公証人が文案を作成するため、自分で文章を作成したり自書したりする必要がありません。作成の際には、公証人のほか、2名の証人の立ち会いが必要です。公証人手数料がかかるものの、無効になるリスクが最も低い、確実な遺言方法であるといえるでしょう。

 

3.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、あらかじめ自分で作成をした遺言書を、封をした状態で公証役場で保管してもらう形の遺言書です。公証人や証人にも遺言の内容を知られない点がメリットである一方で、文面には公証人が関与しないため、無効となるリスクなどがあります。

遺言書の作成にかかる費用:自筆証書遺言の場合

作成する遺言書が自筆証書遺言の場合、遺言書作成にかかる主な費用は、次のとおりです。

 

必要書類の取得費用

自筆証書遺言を作成する際には、資料がなくても作成自体は可能です。しかし、遺言書を正確に作成するためには、次のような資料を取得し、参照しながら作成することが望ましいでしょう。また、弁護士などの専門家がサポートをしたうえで作成する場合には、万にひとつでも誤りがあってはならないため、これらの資料を取り寄せたうえで作成することが一般的です。

 

・ 遺言者の情報がわかる書類:戸籍謄本、住民票

 

・遺産を渡す相手の情報がわかる書類:住民票、(相手が親族の場合)戸籍謄本

 

・ 遺産の情報がわかる書類:不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)、預貯金通帳、証券口座の取引履歴報告書、車検証など

 

これらのうち、預貯金通帳などはお手元にあるものであるため、取り寄せる必要はありません。一方、戸籍謄本や全部事項証明書の取り寄せには費用が掛かります。かかる費用は所有している不動産の数や遺産を渡す相手の人数などによって異なりますが、通常はおおむね数千円程度で収まることが多いでしょう。

 

用紙代

自筆証書遺言を作成するには、記載する用紙が必要です。用紙に特に制限はありませんので、文房具店などで売っている通常の便箋で構いません。

 

法務局での保管申請費用

令和2年(2020年)7月10日より、法務局での自筆証書遺言保管制度が始まっています。 これは、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度です。自筆証書遺言であるからといって、必ずしも法務局での保管制度を利用しなければならないわけではありません。

 

ただし、法務局での保管制度には次のメリットなどがありますので、制度の利用を検討するとよいでしょう。

 

・ 法務局で形式的な要件を確認してもらえる

 

・遺言書を紛失する心配がなくなる

 

・ 遺言書が偽造されたり隠匿されたりするリスクを避けられる

 

・相続が起きたあと、家庭裁判所での検認手続きが不要となる

 

法務局による自筆証書遺言の保管制度を利用する場合には、保管時に遺言書1通あたり3,900円の手数料がかかります 。費用が掛かるのは預託時のみであり、たとえば毎年の保管料や更新料のようなものは掛かりません。

 

なお、保管後の閲覧や証明書の交付などには、次の費用が必要です。

 

・遺言書の閲覧の請求(モニターによる):1回1,400円

 

・遺言書の閲覧の請求(原本):1回1,700円

 

・遺言書情報証明書の交付請求:1通1,400円

 

・遺言書保管事実証明書の交付請求:1通800円

 

※ 法務省:自筆証書遺言書保管制度について

 

サポートを依頼した場合の弁護士報酬

遺言書の作成は自分1人で行うことができる一方で、弁護士へ作成サポートを依頼することも可能です。弁護士に自筆証書遺言の作成サポートを依頼した場合にかかる報酬は、事務所によって異なります。一般的には、20万円から50万円程度であることが多いでしょう。ただし、遺言書の内容などによって異なる場合がありますので、依頼を検討している先の事務所へあらかじめご確認いただくことをおすすめします。

 

次ページ遺言書の作成にかかる費用を種類別に解説

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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