(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年4月14日に公開したレポートを転載したものです。

世界に誇れる「JPXプライム150指数」

情けないことばかり述べてくると気分が滅入る。素晴らしいことも取り上げよう。

 

価値創造に着目して銘柄を選定する新指数「JPXプライム150指数」が開発される。この指数は、プライム市場に上場する時価総額上位銘柄より、エクイティスプレッドとPBRの2つの指標を用いて選定された銘柄で構成される。まさに日本を代表する価値創造企業を150社パッケージにした、優れた企業経営のお手本みたいなインデックスである。

 

実際の指数算出は7月からだが、プロトタイプの構成銘柄で、PBR、ROE、成長性(売上高、EPS)、時価総額の分布を見ると、米欧主要指数(S&P500、STOXX600)と比較して、グローバルに遜色ない水準だといえる。

 

たとえばPBR2倍以上の企業の比率は54%で、67%に及ぶS&P500には敵わないが、50%のSTOXX600を越えている。ROE14%以上の企業の比率はプライム150が52%、S&P500が59%、STOXX600が54%とほぼ並んでいる。

 

そもそもエクイティスプレッドで銘柄を選ぶ指数など見たことも聞いたこともない。古今東西、間違いなく世界にひとつだけ、そして世界に誇れる指数である。この指数に連動するETFなどが開発されれば、2024年から始まる新NISA制度で個人の長期投資の対象としてふさわしい商品になること請け合いである。

 

企業の側にも、この指数に採用されることを目指そうという意識が芽生えてほしい。優れた企業価値創造を行っている企業を個人の投資資金が応援することでますます企業価値が高まり、個人の資産形成にも寄与する好循環が生まれる。我が国の資本市場がそのような形になることを夢見ている。

 

僕はこの指数に大いに感じ入ったので、微力ながら宣伝係を務めようと思う。今後もテレビなどで紹介していくつもりだ。そうしたこともあって、この指数を開発したJPX総研インデックスビジネス部の方々とミーティングをもった。

 

その席で僕が、誠に素晴らしい指数ですね、と伝えると、先方の責任者の方がこう述べられた。

 

「ありがとうございます。開発者としてはこの指数が長く続いてほしいと思う一方で、20年くらいで廃れてお役御免になってくれることも願っています」

 

「え? どういうことですか?」

 

「さきほど米欧の主要指数(S&P500、STOXX600)と比較して遜色ない中身になっていることをご覧いただきました。それら米欧の主要指数、S&P500とかSTOXX600は単に時価総額の大きい順に500銘柄とか600銘柄とか取ってきて、そのROEやEPS成長率が高いわけです。なにもエクイティスプレッドで選んだわけではない。

 

つまり、ROEやEPS成長率が高い企業は当然のように企業価値が向上し時価総額が大きくなりインデックスに入る、それだけのことなんです。

 

日本の株式市場もそうなるべきです。エクイティスプレッドやPBRなんて選別基準を無理に当てはめなくても、時価総額で上位に並ぶ企業は当然のように資本コストを上回るROEをあげ、PBRの高い企業になっている。そうなればこの指数はもうお役御免です。それがこの指数の、いや東証の市場改革のゴールではないでしょうか」

 

「JPXプライム150指数」は世界に誇れる指数だ。そのコンセプトも、開発者たちの理念も、素晴らしい。こういう、世界にないオンリーワンが、どんどん日本に生まれてくれることを切に願う新年度の春である。

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

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