(※画像はイメージです/PIXTA)

社内での人事評価において問題になりやすいのが、「評価項目の妥当性」と「評価の公平性」です。人事評価制度を作成時、これらをしっかり押さえるためには「積極性」を評価項目のひとつにしてはいけないと、人材育成のプロの羽石晋氏はいいます。本記事では、人事評価制度を作成する際の5つのポイントを解説します。

公平な評価制度をつくるための「5つ」のポイント

1.部下に目標設定権限はない

上司が自分の責任を果たすために部下に目標設定を行い、それを評価する権限を上司が持つことで指揮命令関係が成立します。

 

部下からの情報提供を求めることはあれど、承認して決めるのは上司でなければいけません評価者=上司であることがそもそも不明確になるような仕組みでは評価者が機能できないため、注意してください。

 

ましてや、部下の「納得できないからやりません」という状態を許容することは、部下に目標設定権限があると勘違いをさせる原因にもなります。そのため、評価項目を等級ごとに明確に設定し、その達成に見合った給与テーブル(報酬)が設計されている前提をまず準備する必要があります

 

2.評価項目設定は「数値化の鬼」であれ!

評価者は「数値化の鬼」であるべきです。評価者は、あらゆる評価項目を数値化することが求められます

 

たとえば、営業サポートメンバーの評価項目で、営業の活動に貢献できている(非常にできている・できている・まあまあできている・あまりできていない・まったくできていない)などは、残念な評価尺度です。

 

このような尺度ではなく、客観的に測定可能な事実から判断できる設定でなければいけません。

 

営業サポート業務のタスクを月間100件期限通りに完了していてO点、99件~90件で△点のようになっていないといけないのです。不明確で主観的な評価は被評価者の不満の原因になります

 

それを防ぐために、複数人で評価することで評価の質を担保しようとすれば、直属の上司の評価権限が機能しなくなり、部下が指示を聞かなくなる原因となってしまいます。

 

3.「連帯責任」は無意味

管理職が自分と同じ評価項目を部下に設定している場合がありますが、それが「部下をサポートして2人で達成する目標」になってしまっていませんか。

 

この場合の弊害は大きく2つです。1つ目は部下に評価を取らせやすく、かつ自分も取りやすい目標設定にしたがること。2つ目は、お互いが未達成のときに言い訳ができてしまうことです。

 

本来であれば自らが生産効率をO%向上させるために、部下に作業時間をOO時間短縮させるという設定になるべきです。

 

上司は自身の責任範囲を加えた部下の累計値が自らの目標数値になることはあっても、まったく同じものが設定されることは原則ありません(部下と自分の追う数字の合算になることはあります)。

 

ここで重要なのは組織図です。責任の所在が明確な組織図になっているかを点検しなければいけません。上司と部下に同じ目標設定がされている場合、本当にその上司のポジションは必要なのかという話にもなってきます。

 

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