「気の利いた言い回し」ができる理由は?
酒井:回答の内容とは別に、言葉の表現や言い回しがとても人間的だと感じることがあります。これも、人間の会話形式のデータを学習していることによるものですか?
古川:学習データの量が増えたことがいちばんの理由でしょうね。その背景としては、「ニューラルネットワーク」のようなより高度なアルゴリズムが使われていることや、処理速度が向上したことなどが大きいと思います。
酒井:「たくさん場数を踏んだから、気の利いたことがいえるようになった」というイメージでしょうか?
古川:そうですね。人間が一生かけて経験するくらいの会話は、すでに学習しているといえるかもしれません。
酒井:じつは、ChatGPTを困らせてみようと思って、「私の夢は猫になることです。猫になる方法を教えてください」と回答しづらそうな質問をしてみたんです。
古川:それは、聞かれたらちょっと答えに困りますね……。
酒井:最初は「人間は猫になることはできません」という回答だったんですが、しつこく質問を繰り返していたら、「それは素敵な夢です」と、こちらの言い分を肯定する答えが返ってきました([図表3])。
古川:いったん肯定したうえで「ですが、現実には人間は猫になることはできません」と続けていますね。
酒井:“頭ごなしに否定しない”というコミュニケーションのとり方が、とても人間的だなと感じたのですが、こういった回答ができるのはなぜなんでしょうか?
古川:おそらく、ファインチューニングの成果が表れているんでしょうね。Webのデータだけでは、「会話にワンクッション挟む」というのは難しいのですが、そこを会話形式のデータでファインチューニングしたことでより柔軟な会話が可能になったと考えられます。
ChatGPTは、汚い言葉を使わない?
酒井:もう1つ気になっていることがあります。ChatGPTは汚い言葉やスラングを使わず、いつも礼儀正しい言葉で回答をしている印象です。これも、なんらかの調整が行われているということですか?
古川:そうですね。ChatGPTはWeb上のデータを学習していますが、その際にフィルターをかけて適切でない言葉は除外されていると考えられます。Web上から収集した45テラバイトのデータをフィルタリングして570ギガバイトまで絞り込んでいます。
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