ChatGPTに「猫になる方法を教えてください」→“570GBのデータ”を駆使して出された「人間的な回答」のエモさ【専門家が解説】

ChatGPTに「猫になる方法を教えてください」→“570GBのデータ”を駆使して出された「人間的な回答」のエモさ【専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

対話型AI「ChatGPT」は文章を生成できるAIとして注目を集めています。今後「ChatGPT」の活用によって、日常生活やビジネスにどのような変化が起こるのか。日本最大級のAIライティングアシスタント「Catchy」の事業責任者である古川渉一氏が、ITライター酒井麻里子氏との共著『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』(インプレス)より解説します。

「気の利いた言い回し」ができる理由は?

酒井:回答の内容とは別に、言葉の表現や言い回しがとても人間的だと感じることがあります。これも、人間の会話形式のデータを学習していることによるものですか?

 

古川:学習データの量が増えたことがいちばんの理由でしょうね。その背景としては、「ニューラルネットワーク」のようなより高度なアルゴリズムが使われていることや、処理速度が向上したことなどが大きいと思います。

 

酒井:「たくさん場数を踏んだから、気の利いたことがいえるようになった」というイメージでしょうか?

 

古川:そうですね。人間が一生かけて経験するくらいの会話は、すでに学習しているといえるかもしれません。

 

大量のデータを学習し、いわば「場数をたくさん踏んでいる」状態になっているため、柔軟な会話が可能
[図表2]「気の利いた言い回し」ができる理由 大量のデータを学習し、いわば「場数をたくさん踏んでいる」状態になっているため、柔軟な会話が可能

 

酒井:じつは、ChatGPTを困らせてみようと思って、「私の夢は猫になることです。猫になる方法を教えてください」と回答しづらそうな質問をしてみたんです。

 

古川:それは、聞かれたらちょっと答えに困りますね……。

 

酒井:最初は「人間は猫になることはできません」という回答だったんですが、しつこく質問を繰り返していたら、「それは素敵な夢です」と、こちらの言い分を肯定する答えが返ってきました([図表3])。

 

[図表3]ChatGPTの「人間的な」回答

 

古川:いったん肯定したうえで「ですが、現実には人間は猫になることはできません」と続けていますね。

 

酒井:“頭ごなしに否定しない”というコミュニケーションのとり方が、とても人間的だなと感じたのですが、こういった回答ができるのはなぜなんでしょうか?

 

古川:おそらく、ファインチューニングの成果が表れているんでしょうね。Webのデータだけでは、「会話にワンクッション挟む」というのは難しいのですが、そこを会話形式のデータでファインチューニングしたことでより柔軟な会話が可能になったと考えられます。

ChatGPTは、汚い言葉を使わない?

酒井:もう1つ気になっていることがあります。ChatGPTは汚い言葉やスラングを使わず、いつも礼儀正しい言葉で回答をしている印象です。これも、なんらかの調整が行われているということですか?

 

古川:そうですね。ChatGPTはWeb上のデータを学習していますが、その際にフィルターをかけて適切でない言葉は除外されていると考えられます。Web上から収集した45テラバイトのデータをフィルタリングして570ギガバイトまで絞り込んでいます。

 

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先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来

先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来

古川 渉一・酒井 麻里子

インプレス

「ChatGPT」(チャットジーピーティー)は文章生成AIです。人間が入力した質問に答える形で文章を返してくるので「対話型AI」とも呼ばれていて、自由度の高い会話をしながら自然な文章が生成できるのが特徴です。創作分野をは…

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