「ChatGPT」が返した回答とは
酒井:はっきり「食べないようにすることが重要」と答えていますね。ちょっと安心しました。
古川:ここでは、「プラスチックが食べられる」という前提で質問をしていますが、そうするとGPT-3の場合、前提に合わせた回答をしてしまうんです。
酒井:「あなたの前提は間違っていますよ」という指摘はしてくれないんですね。
古川:そうなんです。ChatGPTは「人間にとって害のない役に立つモデル」として調整されていますが、これは人間の会話に近いやりとりができることを意味しています。
酒井:もし人間同士の会話なら、「プラスチックを美味しく食べるには、どうしたらいいかな?」「なにいってるの? プラスチックは食べられないよ」というやりとりになりますよね。
古川:ChatGPTはそういった人間の会話を学習しているので、ユーザーが入れた情報を鵜呑みするのではなく、前提を否定したり、間違っていることを間違いだと指摘したりできるんです。
酒井:従来の弱点を克服して、人間の会話の精度に一歩近づいたという感じなんですね。
「AIの割にはすごい」を超えた
酒井:ここまでに見てきたような自然な文章を作れることが、ChatGPTに高い期待が寄せられている理由ということですね。
古川:そうですね。これまでのAIによる文章は、「AIの割には上手」という範囲にとどまっていました。
酒井:「人間が書いたほうが優れているけれど、AIの書いたものも意外と悪くない」というニュアンスですね。
古川:そうです。どこか上から目線というか、人間のほうが上だという無意識の前提があったと思います。でも、ChatGPTでいよいよ、人間よりクオリティの高い文章をAIが書けるようになりつつあることを認める風潮になってきたと感じています。
酒井:まだ完璧ではないとはいえ、手直しすれば使えるレベルの下書きを作ってくれたり、壁打ちの相手になってくれたりするレベルということですもんね。
日本語と英語で入力するのに違いはある?
酒井:ところで、日本語でそのまま使える点も、ChatGPTの便利なところだと感じています。質問を日本語で入力した場合と英語で入力した場合で、何か違いが出るんでしょうか?
古川:返事が返ってくるまでのスピードは、英語のほうが速いですね。待ち時間が少し長くなるなど、英語と比べると性能面で低い可能性がありますが、日本語でも問題なく使うことはできますよ。日本語での性能アップは今後のChatGPTの進化に期待したいところです。
酒井:ChatGPTは新しいテキストを作り出す「生成」に強みを持つこと、GPT-3に比べてより人間の会話に近いやりとりが可能になっていること、さらに日本語でも問題なく使えることが魅力のAIということですね。
古川 渉一
株式会社デジタルレシピ
取締役CTO
酒井 麻里子
株式会社ウレルブン
代表・ITライター
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