(写真はイメージです/PIXTA)

世界経済の不透明感がいっそう増すなか、国内の投資信託はどのように動いているのでしょうか。ニッセイ基礎研究所、前山裕亮氏が、最新の投資信託の動向を分析していきます。

外国株式ファンドへの資金流入が倍増

2023年3月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、3月は主に国内債券を投資対象とするもの以外すべての資産クラスのファンドに資金流入があった(図表1)。ファンド全体でみると6,500億円の資金流入と2月の4,100億円から2,400億円増加した。ただし、SMA専用ファンド(紺棒)に限ると国内債券ものを中心に2021年2月以来、約2年ぶりに流出超過となった。

 

【図表1】
【図表1】

 

3月は外国株式ファンドの販売が特に好調で、外国株式ファンドに4,200億円の資金流入があり、2月の1,900億円から倍以上増加した。タイプ別に外国株式ファンドをみると、SMA専用ファンドには100億円の資金流入と2月から横ばいであったが、インデックス型に3,500億円の資金流入と2月の2,000億円から1,500億円に増加した。また、アクティブ型も2月に2020年6月以来の久々に純流出となっていたが、3月はインデックス型と比べて少額ではあるものの600億円の純流入に転じた。

外国株式ファンドは米国株式以外がけん引

インデックス型の外国株式ファンドへの流入額3,500億円は、過去最大であった2022年12月の3,700億円に迫る規模であった。12月は年末で元々、資金流入が膨らみやすいことを考慮すると、この3月はインデックス型の外国株式ファンドが過去一売れたといっても問題ないだろう。

 

インデックス型の外国株式ファンドの中では、米国株式のもの(青棒)に1,700億円台半ばの資金流入があり、2月の1,100億円から600億円増加した(図表2)。さらに3月は米国株式以外のインデックス型の外国株式ファンド(黄棒)にも1,700億円台半ばの資金流入があり、これまで最大であった2022年12月(赤囲い)の1,600億円を上回り、過去最大であった。2月の900億円からの急増であり、資金流入の増加金額はインデックス型の米国株式ものよりも、その他のインデックス型外国株式ファンドの方が実は200億円ほど大きかった。その資金流入のほとんどが、全世界株式指数や先進国株式指数に連動するファンドへの流入である。

 

【図表2】
【図表2】

 

また、3月はアクティブ型の外国株式ファンド全体でも資金流入に転じたが、米国株式のもの(青棒)に限ると売却超過であった(図表3)。アクティブ型の米国株式ファンドからは流出額は小さいが3カ月連続(赤囲い)の純流出となり、しかも2月よりも流出額が大きかった。

 

【図表3】
【図表3】

 

このように3月に外国株式ファンドがタイプによらず2月よりも売れたのは、月中旬にかけて欧米の金融システム不安によって株価が下落する中、値ごろ感から購入する投資家が多かったためだと推察される。ただ、以前はこのような局面だとアクティブ型、インデックス型問わず米国株式のものが特に売れ、資金流入が膨らむ傾向があった。それが3月はインデックス型では米国株式ものが売れたが米国株式以外のものもよく売れ、アクティブ型では米国株式ものの売却が止まらなかった。やはり2021年あたりから始まった米国株式ブームが、2023年に入って落ち着いてきているのかもしれない。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年4月5日に公開したレポートを転載したものです。
【参考文献】
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3. e-Govポータル. 空家等対策の推進に関する特別措置法.
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5. A.J.グレマス & (訳:田島 宏・鳥居 正文). 構造意味論―方法の探求. (紀伊國屋書店, 1988).
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