課題が山積みの「日本の物流業界」…
コロナ禍の影響もあり、ネットショッピングの需要は数年前よりも高まっている。一方で、そうしたネットショッピングに欠かせない存在である「物流業界」が抱える課題は山積みだ。
やはり一番の問題は、トラックドライバーの数が足りていないことだろう。日本全体の人口減少もあるなか、消費者の輸送ニーズの方は年々上昇している。
こうした現状に加えて、働き方改革などの影響により、運送に携わる人々の労働時間や労働環境に制限の目が向けられているのも、物流業界が抱える大きなジレンマだと言える。
深刻すぎる人手不足に…ドライバーへさらに降りかかる“負荷”
人手不足について、具体的な数字を見ていこう。厚生労働省の『令和3年11月 労働経済動向調査』によると、全産業の欠員率は2.3%であるのに対し、トラック運転手含む運輸業・郵便業の欠員率は3.5%。有効求人倍率も令和3年度で2.06と、全産業の倍近くにもなる。完全に人手が足りていない状況だ。
加えて、高齢化も進行している。全産業の平均年齢は43.2歳に対し、大型トラック運転手の平均は49.9歳、それ以外の運転手では47.4歳だ。このままでは、日本のドライバー不足はますます深刻化することが免れない状況にある。
こうした中、国土交通省によると、宅配便の取り扱い個数は右肩上がりとなっている。1992年は年間12億個だったのが、その10年後の2002年には28億個、さらにその10年後の2012年には35億個、コロナ禍の2020年には48億個に達した。
そして運転手の負荷となっている再配達率は、コロナ禍の2020年4月には在宅率の増加もあり大きく改善したが、その後在宅率が下がるにつれてまた上昇傾向にある。2021年10月では全国で11.9%、都市部で13.0%、地方で10.4%。10件に1件以上が再配達を要する状況だ。
気になるトラック運転手の平均給与は…
加えて深刻なのは、トラックドライバーの給与だ。厚生労働省『令和3年賃金構造統計調査』によると、平均給与(大型トラック運転手の所定内給与額)は月28.2万円(平均年齢49.9歳、平均勤続年数12.1年)。手取りにすると22万円ほどになる。手当や残業代を加味した推定年収は463万1,900円。全産業の平均は月収30万7,400円、推定年収が489万3,100円であるから、平均を若干下回っている。
日本の配送サービスは、世界的に見ても非常に高いレベルであることで有名だ。温かいものは温かいままに、冷たいものは冷たいままに届けられる。そして、接客サービスもよい。こうした世界トップレベルの質の高い輸送サービスが確立されているのは、業界で働く人の努力があってこそのものだ。
日本の物流業界が抱える課題、トラックドライバーの労働環境について、日本全体でよりフォーカスされていくことを切に願いたい。
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