(※写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生した際、ほとんどの人は「トラブルを少なく、少しでも安く済ませたい」と考えるでしょう。そしてそのためには「信頼できる税理士」に依頼することが重要です。そこで今回、元税務調査官で相続専門40年のベテラン税理士秋山清成氏がいくつかのモデルケースとともに、相続について「相談していい税理士」と「ダメな税理士」の見分け方をあわせて紹介します。

「相談してよい税理士」・「NGな税理士」の見分け方

税理士にも専門分野がある

相続の相談で初めて税理士を必要とする人も多いのではないでしょうか。インターネットで検索すると、近所には複数の税理士事務所があり、どこに頼めばよいのか悩むでしょう。今はリモートを駆使して全国の税理士に申告書作成を依頼することもできます

 

あなたが税理士を探す際、絶対に外してはいけない条件があります。それは「相続専門の税理士を探す」こと。なぜなら、医師に外科、内科、歯科などの専門があるように、税理士にも専門があるからです。

 

毎年、税法は細かい部分がコロコロと変わり、これまで使えていた特例の条件が厳しくなったり、さらに使いやすくなったり、これまで見逃されていた節税ルールが締めつけられたりと、皆さんが思っている以上に目まぐるしく変化します。税理士は日々の業務に加え、自分の専門分野の勉強をするだけでも手一杯です。

 

それは相続税に限らず、消費税も、所得税も、法人税も、その他の税金に関しても同じです。各種税法の細かい改正ポイントを押さえ、実務に正しく反映することは、専門分野以外無理といっても過言ではありません。

 

土地の評価で税額が大きく変わる

間違って相続税に不慣れな税理士に申告書作成を依頼してしまうと、財産を高く評価して相続税が無駄に多くなったり、逆に財産を低く評価して税務調査の対象になってしまうことが見受けられます。

 

中でも土地の評価は、相続税の税額を左右する重要な要素であり、土地の評価次第で相続税額は何百万円と変わります。しかも評価を間違えて高い税金を納税しても、税務署から「税額が多いですよ」と連絡がくることはなく、逆に土地を低い評価にするとすぐにチェックが入ります。残念なことに申告が正しかったのかどうかは依頼人には分かりません

 

土地の評価は机上で勉強すれば理解できるようなものではなく、経験によるものが大きいので、相続税専門の税理士に依頼するのがよいのです。

 

ホームページや看板に偽りあり

ホームページや看板で「所得対応・法人対応・相続対応!何でもできます」とアピールしている税理士事務所は注意深くリサーチしてください。相続対応と謳っていますが、実際は他の業務の片手間に相続の業務を行っている可能性があります。

 

その理由の1つに、2015年の相続税法の改正により、相続税の基礎控除額が4割減額され、相続税がかかる人の割合がそれまでの約2倍に増加したことがあります。この改正を税理士はビジネスチャンスと捉え、勉強不足にもかかわらず相続税の業務や申告書作成にシフトしている傾向があります。実際に相談に行くと、「相談者の質問に即答できない」という税理士は一定数います。

 

SNSやYouTubeをチェック!

では、「本物の相続専門の税理士」を見極めるにはどうすればよいのでしょうか。私が勧める見極めポイントは、ホームページやSNS、YouTubeなどで発信している情報をチェックすることです。

 

前述したとおり、税理士はそれぞれの専門分野の税法について日々勉強をしています。本当に相続を専門にしている税理士であれば、今までの自分の経験や知識、税法の改正点などの情報を発信しているはずです。「相続対応」と体裁だけを整えて、相続税に関する情報発信をしていないのであれば、本来は相続税以外が専門の可能性が高いです。

 

多少分野が違っても、税理士には変わりないと思われるかもしれませんが、専門外の税理士の勉強不足は否めません。自分の財産を守るため、相続税の申告は相続専門の税理士に依頼するようにしましょう。

 

 

秋山 清成

秋山清成税理士事務所

税理士

 

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※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全

元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全

秋山 清成

KADOKAWA

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