ドラッカーが唱えた「目標管理」、“日本企業の多くが省いてしまった”「重大な本質」【ドラッカー研究家が解説】

ドラッカーが唱えた「目標管理」、“日本企業の多くが省いてしまった”「重大な本質」【ドラッカー研究家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

マネジメントの父ともいわれる世界的経営学者でありコンサルタントのピーター・F・ドラッカー。彼が提唱した「ドラッカー理論」は世界的に有名ですが、じつは日本では多くの企業に“誤って”捉えられていると言います。本連載は、ドラッカー研究に50年以上携わっている二瓶正之氏の著書『徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理』(春陽堂書店)を一部抜粋してお届けします。

 

ドラッカーが唱えた「自己目標管理」の“目的”

ドラッカーが唱えた目標管理、つまり自己目標管理の目的は、組織の成長と個人の成長を同時に実現することにあります。自己目標管理の数あるメリットのうち、主たるメリットは大きく四つにまとめられます。

 

〈自己目標管理の主たるメリット〉

①組織の成長と個人の成長のベクトルを合わせられる

②継続的な成長軌道を実現できる

③上司と部下の間により深いコミュニケーションを実現できる

④仕事への強い動機づけ効果を実現できる

 

①組織の成長と個人の成長のベクトルを合わせられる

組織全体の方針と目標が示している組織全体の方向性とそこに属する組織の成員一人ひとりの成長への努力の方向性とを一致させられます。組織が目指す方向性と個人が目指そうとする方向性が異なっていると個人の努力が組織の成長に結びつきません。組織にとっては無駄な努力、場合によっては危険な努力になる可能性があります。

 

自己目標管理は組織の成長と個人の成長を同じ方向性にして、個人の成長がダイレクトに組織の成長に寄与する道筋を用意します。

 

②継続的な成長軌道を実現できる

主体性と自発性に基づいて設定された目標に自ら取り組み、その結果の評価も自ら行い、次の目標設定につなげる。このプロセスを踏むことで、一人ひとりの継続的な成長軌道を実現できます。

 

自己目標管理は、人間というものは責任・貢献・達成を欲するものだという前提に立つとドラッカーは言います。この肯定的な人間観を前提にすると、人は自ら努力を必要とする高い目標を立て、その目標達成に積極的に取り組み、結果についても深く内省するという厳しい自己規律につながります。その結果、大いなる成長を約束します。

 

③上司と部下の間により深いコミュニケーションを実現できる

率直な対話を通じての目標設定により、上司と部下が互いの考えの違いに気づき、深いコミュニケーションを実現できます。目標設定面談に先立つ事前面談で、上司が部下に今期において期待することを伝えます。

 

それを部下は自己目標管理シートの「上司が期待すること」の欄に記入しますが、この記入内容を目標設定面談時に確認すると、多くの場合、内容の修正が必要になり、いかに両者のコミュニケーションが不十分だったかを認識することになります。

 

この考えの違いの認識が、両者のコミュニケーションを深めるきっかけをつくるのです。

 

④仕事への強い動機づけ効果を実現できる

目標を個人が受け入れたとき「目標の意義の明確性」「目標の具体性」「目標の困難性」が強い動機づけ効果を生みます。このロックの唱えた目標設定理論の原理と自己目標管理における目標設定についての基本的な考え方は同じものです。自己目標管理の実践が部下の仕事に対する強い動機づけにつながるのです。

 

ドラッカーも『マネジメント』の中で、自己管理が強い動機づけをもたらし、適当にこなすという考えを捨てさせ、最善を尽くしたいという願望を起こさせると述べています。

 

この四つのメリットが、結果として、自己目標管理の実践が管理者の部下マネジメントを容易にしてくれています。

 

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徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

徹底的にかみくだいた「自己目標管理」ドラッカーが本来伝えたかった目標管理

二瓶 正之

春陽堂書店

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