「地域の実情」に応じた医療・介護体制はどこまで可能か…審議会報告の文言から見える政府の意図と自治体の現実
(写真はイメージです/PIXTA)
2024年度は医療・介護分野で多くの制度改正が予定されていますが、その文脈で多く語られているのが、「地域の実情」という言葉。ニッセイ基礎研究所の三原岳氏が「地域の実情」という言葉を使っている近年の政府文書などを取り上げるとともに、その意味を再考していきます。
5―おわりに…立ち止まって考えることが必要
今回は政府の審議会資料や自治体の状況を踏まえつつ、「地域の実情」に沿った医療・介護体制を巡る理想と現実を明らかにしました。ここまで辛辣な言葉と皮肉を並べて来ましたが、国がすべて丸抱えすることは困難であり、やはり自治体が「地域の実情」に応じて、主体的に政策を決定していく必要があります。
しかし、その内実が伴っていないことは紛れもない事実です。自治体としては、制度や事業、他の地域の好事例に飛び付くのではなく、一旦立ち止まって「地域の実情」を考察し、その実情に沿った施策を自ら立案する必要があります。言い換えると、クリアカットな方策が存在するわけではなく、「地域の実情」を踏まえつつ、地域の専門職や住民とともに、自治体が地道に取り組みを積み上げて行くしかないわけです。第2回は「『地域の実情』とは何か?」という問いから議論を始め、少し方法論を検討します。
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ニッセイ基礎研究所
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2019年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
【著書・寄稿など】
『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
「"森友問題"で空回りした法改正論議」(2017年8月12日&19日合併号、『週刊ダイヤモンド』介護特集)
「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
「『混合介護』という幻想」『介護保険情報』(2016年11月号)
「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)
著者プロフィール詳細
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※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年3月31日に公開したレポートを転載したものです。