経営幹部の適性を見極める「8つの資質」
経営者の皆さんから、「これから幹部を育てていきたいが、誰が適任かわからない」、あるいは「いまいる管理職のなかから誰を幹部にするべきか迷ってしまう」という悩みをよくお聞きします。
そこで、京セラを世界的な企業に成長させた、稲盛和夫さんの言葉を引用させていただきます。稲盛和夫さんは「自分の分身が欲しい」ということで、幹部の育成にも力を注ぎました。その際、リーダーに求める資質を「長たる者の8つの資質」というものにまとめました。
1.自分の担当した部門に対し、夢・理想を持った人
自分の担当している部署や部門の、夢や理想、つまりビジョンを持っている人ということです。単純に命令に従ってそのポジションに収まるのではなく、たとえば営業部門であれば、「営業とはこうあるべき」という理想を持っている人をリーダーとして据えるということです。
経営者であれば、会社全体のビジョンや夢を掲げるわけですが、部門長も担当している部署を1つの会社と捉え、そのビジョンや理想を描くことが大切だというわけです。
2.理想を実現させるための強い信念・勇気・情熱を持った人
理想を実際に実行できるだけの、強い信念や勇気、情熱が必要であるということです。単に口先でいっているだけではダメだというわけです。
3.目標を達成するために、それぞれの職務を分解しまとめられる人
自分が担当する部門を素晴らしいものにしていくためには、なにが必要なのかを分解して考えられる人です。これは、経営者が会社全体の組織図を作るときに考えるべきこととまったく同じなのです。
会社の組織図は、まず経営者が理想とする会社のビジョンがあって、それに必要な機能を組織図としてまとめ、そしてそれぞれに適任者を当てはめていくわけです。経営幹部となる人も、そのような発想で自分の部署の仕事を設計できる能力を持っていないといけません。
4.職務達成のため、細心の神経を持ち「ビビる人」
繊細な心の持ち主をリーダーにしていくということです。稲盛さんは完璧主義者としても知られていましたが、そういった考え方を持った人を長にするべきだというわけです。大胆な人よりも、小心者くらいの人のほうがリーダーとしてはふさわしいと考えているのです。これは一般的にイメージされるリーダー像とは違うかもしれませんが、実際に稲盛さんはそういった人たちを幹部に据えて成功を収めているわけです。
5.職務達成のため、「自分の分身」を職務別に配置できる人
自分の分身をどんどん作って、重要なポジションに配置できる人をリーダーにしなさいということです。自分と同じ考え方や責任感を持って、一生懸命仕事に取り組んでくれる人を選び、その人たちを職務別に配置できる人ということです。
6.自分の分身の信頼を常に確認する
人仕事を部下に任せっぱなしにしないということです。いくら信頼できる人だとしても、その人が永遠に信頼に値するかというのは、また別の話になってくるわけです。ですから、その人が信頼に値するかどうかを常に確認する必要があるのです。
やはり人は、立場や環境が変わることで、変わってしまうことがありますから、1年〜2年経ってみると、当初とは違った部門になってしまうということがあるわけです。ですから、常に部下が信頼がおける存在なのかを確認できる人であることが必要になります。
7.部下の信頼を得られる人
逆に、その人自身が上司として信頼されているかどうかも大切になります。部下から信頼される上司でなければ、その部下も信頼に足る行動をとらなくなってしまいます。お互いがお互いを信頼できる関係構築を進められる人をリーダーにしていくというわけです。
8.命題に対し、チャレンジする人
会社としての新しい課題、部門としての新しい課題を発見して、解決することにチャレンジしていく人ということです。幹部と一般的な管理職の違いはここにあって、一般の管理職というのは、問題を解決する能力があればいいわけです。
一方、幹部になる人はそれだけではダメで、自分たちはどこを目指すべきかという理想を掲げて、現実とのギャップを発見できなくてはいけません。自ら、自分たちが解決すべき課題を発見できる人が幹部にふさわしい人材であるということです。
ここに挙げた1〜8のポイントを基準に、自社の幹部に必要な能力を持った人材であるかどうかを見極めてみてください。
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