(※写真はイメージです/PIXTA)

会社の重要な意思決定を担う存在として、経営幹部選びは非常に重要です。しかし、単に長年勤めている人や仕事のスキルが高い人が適任であるとは限りません。本記事では、京セラを世界的な企業に成長させた稲盛和夫氏が掲げる「長たる者の8つの資質」とともに、経営幹部に向いている人材の特徴についてみていきましょう。

経営幹部はどう育成する?

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では、管理職のなかから幹部候補となる素養を持った人材を見出したとして、実際に経営幹部として役職を担うようになるためには、どのような育成方法があるのでしょうか。これから2つの例を取り上げますので、参考にしてください。

 

例1:理念を「浸透させる」のではなく「共有する」

先ほどの稲盛さんの「長たる者の8つの資質」でも、「自分の担当した部門に対し、夢・理想を持った人」ということが最初に掲げられているように、理念を持って仕事をできることが経営幹部となる人材の大前提となります。これはもちろんその人自身が担当する部署の理念にとどまらず、企業全体の理念も具現化できる人材であるということです。

 

そのためには、まず自社の理念の徹底した共有が必要となります。日本の企業では、「理念を浸透させる」という言葉が頻繁に使われますが、理念は浸透させるものではなく、共有するものです。同じ理念を持った人たちが集まれば集まるほど、理念が実現する可能性が増すことはいうまでもありません。

 

~理念策定に参加させ、語らせる~

 

理念を共有していくためには、ミッション、ビジョン、バリューの策定プロセスに幹部候補社員を参加させることが大切です。トップダウンではなく、自分たちで決めたものであれば、より理解が深まります。そして、それぞれが現場の業務において、ミッション、ビジョン、バリューを日々の仕事で体現するための仕組みづくりをしていきます。

 

また、多くの会社では、社長が理念を語ることで理解してもらおうとしますが、これだけでは徹底した共有できません。ですから、経営幹部(候補者)自身がそれぞれの部署において、自社のミッション、ビジョン、バリューを語る機会を増やしていくことも大切になります。

 

例2:仕事ができるだけではリーダーになれない…「一皮むける経験」が必須

中国の故事で、「武の力があれば兵の将にはなれるが、将の将になるためにはそれだけでは足らない。人徳が必要である」というものがあります。職人技で成り上がってきた社長がやりがちなのが、最も仕事のスキルが高い人を幹部に選ぶということです。しかし、腕がいいというだけでリーダーになることはできないわけです。

 

リーダーが育つためには、経験:薫陶:研修=7:2:1という割合が必要だといわれています。大部分を占めるのは経験なのですが、ここでいう経験も、単に長年勤めていればいいわけではありません。次に挙げるような、いわゆる「一皮むける経験」が必要になります。

 

~幹部になるために必要な経験とは?~

 

・なにもないところからなにかを作り上げる

・失敗している事業を立て直す

・管理する人数、職域の増加

・ライン業務からスタッフへの移動

・ロールモデルの観察

・事業の失敗

・部下との対峙

・キャリアチェンジ

・個人的なトラウマ

 

こういった経験をさせるために、大企業の場合には子会社を作り、その社長を担わせることで経営幹部を育てる仕組みがあります。中小企業の場合にはそこまで行うのは難しいのですが、新規事業を立ち上げたり、あえて困難なプロジェクトを担当させるなど、実ビジネスでの経験を積ませることが考えられます。

 

経営幹部の育成を会社の「仕組み」として構築する

このように、経営幹部の育成は一般社員の育成とはまったく異なります。実際の経営の場で修羅場や困難を乗り超えることによって、「将の将」なるための器が育っていくわけです。

 

経営幹部の育成を会社の仕組みとして構築し、次々と幹部候補が生まれるようにすることで、事業を永続的に成長させることが可能になります。そのためには、理念に基づく仕組みづくりをし、常に仕組みの改善に取り組むことが大切です。

 

 

清水 直樹

仕組み経営株式会社 

代表取締役

 

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