ソーシャルリスニングツールで炎上の兆しを察知する
何かネガティブな出来事が起きるきっかけとして、ネットの声が大きな原因となることが増えました。そのため、企業はネット上で自社の製品やサービスに関して「炎上」と言われるような問題の兆しがないかどうか見ておく必要があります。
早めに問題の兆候がわかれば、誤解であれば誤解を解き、企業側に問題があれば調査をして改善するなどの対策が取りやすくなります。
しかし、実際にずっとネットを見張っていることはできません。そこで、注目されているのが、ソーシャルリスニングツールです。ソーシャルリスニングとは、ネットの評判を集めてきて、それに耳を傾ける行為を指します
ソーシャルリスニングツールの例として、「自社名/製品名やネガティブワードが一定数ネットに出たら、アラートが飛んでくるよう設定できるものがあります。有償のものが多いですが、無料のGoogleアラートを利用し、モニタリングしておく方法もあります。
炎上の影響を最小限にとどめた2つの事例
最後に、炎上の影響を最小限にとどめたといえる事例を見てみましょう。
◆早い段階でお詫びと対策を発表
2022年6月23日に日本国内で発売された海外企業のモバイルバッテリーに関し、発売2日後の6月25日、製品をレビューした人による「製品に問題があり、危険」という趣旨のレビュー記事が公開されました。
人気のある商品だったため、ネット上には「信頼していたのに」「もう買わない」「危険だ」などの趣旨の投稿が見られました。
その会社は、7月5日、実際には特殊な状況でないとその現象は起きず、通常利用では問題ないが仕様を変更すること、懸念のある人には返金することを、公式に自社ホームページで発表。
追って、日本の公式Twitter(フォロワー数約19万人)でも発表しました。それを翌日メディアが報じたことで、炎上は収まりました。公式発表まで7営業日でした。ブランドイメージは毀損しませんでした。
このケースでは、次の要因で比較的早く炎上が収まったといえます。
・比較的早く公式発表でお詫びと対策の説明がおこなえた
・公式Twitterのフォロワーが多かった
・当該レビューサイトでもメーカーの対応について追記された
・複数のネットメディアがすぐに記事で取り上げた
◆社長自らによる的確な説明が好評価に
2022年7月2日未明から、KDDIの通信障害が発生しました。通話ができないばかりか、使えないサービスが出るなど、社会インフラが止まる重大な問題に発展。完全に解決するまで86時間もかかりました。
しかしながら、同社の緊急記者会見は障害が発生した翌日でした。何もわかっていない社長が紙を見ながら読み上げるのではなく、社長自身が内容を理解して説明していることが伝わりました。
その後も複数回の会見がおこなわれ、情報がアップデートされました。復旧するまで、復旧した後、そして今後起こさないための対策までを含め適切に発表し、企業の真摯な姿勢が伝わってきました。
インターネット上でも、「これからもauを使う」「頑張れ」「社長がすごい」「社長をやめさせないで」などとポジティブなメッセージも多く、株価は少し下がったもののすぐに元に戻り、大幅な下落や継続的なネット炎上は起きませんでした。
一度起きてしまったことは、決して「なかったこと」にはなりません。しかし、その出来事にどう向き合うか、どう説明/発表するかは、企業の今後のイメージ、話題のなり方、そして今後のビジネスに、大きく影響してくるのです。
加藤 恭子
株式会社ビーコミ
代表取締役
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