「SVBショック」が収束…新年度の日本株は良好、日経平均は「3万円」回復へ【ストラテジストが解説】

「SVBショック」が収束…新年度の日本株は良好、日経平均は「3万円」回復へ【ストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年3月31日に公開したレポートを転載したものです。

本記事のポイント

・今回の破綻劇は比較的単純な構造で市場の疑心暗鬼は広がらなかった

・日本株は戻るべきところに戻り、バリューもグロースも買われる全面高の展開

・新年度、買い材料は豊富

「SVB破綻」は特殊なケース…今回の件での学び

シリコンバレー銀行(SVB)破綻から3週間。欧州にまで飛び火した金融不安はようやく収束したように思われる。僕はSVBの破綻は銀行システム全般へは波及せず、市場の動揺は早晩収まるだろうと当初から指摘していた。

 

FRBのバー副議長が公聴会で、「ずさんな管理の見本」と切り捨てたように、SVBの破綻は極めて特殊なケースであるからだ。

 

クレディスイスも同様である。取引の失敗により損失が重なり、経営陣の不祥事も絶えなかった。破綻の経緯は異なるが、脆弱な金融機関が潰れるべくして潰れただけである。繰り返すが、特殊なケースだ。

 

しかし、ここから学ぶ(というかいま1度思い返す)べき、より普遍的なことがある。それは人間の不安心理が金融危機を招く、ということだ。2008年のグローバル金融危機は、サブプライムローンの証券化商品のバブルがはじけ、リーマンブラザーズが破綻したことが引き金となったが、それはあくまで金融危機の「きっかけ」でしかない。

 

危機の本質は、「なにが潜んでいるか見えない」「なにが出てくるかわからない」という不安から市場参加者が疑心暗鬼となり、市場の流動性が一瞬にして消失してしまったことにある。今回の破綻劇は比較的単純な構造で不透明さが少なかったことやFRBなどが迅速な対応をとったこともあって、市場の疑心暗鬼は広がらなかった。

 

しかし、読めないのが人間心理だ。いつまた、なにがきっかけで市場の不安心理が高まるか予見することは不可能に近い。われわれにできることは、「いつか突然、危機は起こる」と心の片隅に常にその意識を持ち続けることだけである。

日経平均は「3万円近く」まで上昇の見込み

さて、とにかく、市場は落ち着きを取り戻した。日経平均は2万8,000円台を、TOPIXは2,000ポイント台を回復した。そもそも日本株にはまったく関係のない問題で足元をすくわれた格好になったが、ようやく元のトレンドに戻った。SVBの問題が出る前には、日経平均は2万9,000円をうかがう勢いだった。少し寄り道をさせられたが、戻るべきところに戻ったということだろう。

 

今日(2023年3月31日)の相場は象徴的だ。PBR1倍を下回る企業に対する東証の改善要請方針を背景にバリュー株が物色された一方、SOX指数の1年ぶりの高値でレーザーテック(6920)など半導体株も高い。バリューもグロースも買われる全面高の展開といっていいだろう。

 

来週から新年度である。新規資金の流入が期待できるほか、4月は外国人が買い越す月としてよく知られたアノマリーがある。4月の日本株のパフォーマンスは歴史的にみて非常に良好だ。加えて、今年は日銀の新体制の発足もある。買い材料は豊富だ。

 

4月下旬から決算発表が始まるが、来年度の業績見通しがまとまり、それをベースとしたバリュエーションに切り替わる5月中旬ごろまでには、日経平均は3万円近くまで上昇しているだろう。

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

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