(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は2023年3月16日の「政労使会議」で、賃上げの動きを中小企業や小規模事業者へと広げる一環として、最低時給を全国平均で1,000円超に引き上げる方針を明らかにしました。しかし、そこで妨げとなるのが、所得税・住民税と社会保険料の負担に関する「5つの壁」の存在です。本記事では、それらの「壁」の内容と問題点について解説します。

日本の税制、社会保険制度における「5つの壁」とは

日本の税制(所得税)、社会保険制度においては、5つの「~万円の壁」があります。それぞれがどのようなものか簡潔に表現すると、以下の通りです。

 

【所得税等の税制に関する壁】

・「103万円の壁」:年収103万円を超えると配偶者控除の対象から外れる(ただし「配偶者特別控除」の対象)

・「150万円の壁」:年収150万円を超えると段階的に控除額が減る(配偶者特別控除)

・「201万6,000円の壁」:年収201万6,000円を超えると「配偶者特別控除」の対象から外れる

 

【社会保険制度に関する壁】

・「106万円の壁」:社会保険法上、年収106万円を超えると社会保険料の支払い義務が生じる(従業員100人超の事業所・雇用期間2ヵ月以上の労働者)

・「130万円の壁」:社会保険法上、年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れる

 

なお、このうち「106万円の壁」については、対象となる企業の規模の要件が2024年10月から「従業員数50人超」にまで拡大される予定です。

「壁」の問題点

これらの「壁」には以下の2つの問題があります。

 

1. 最低賃金が引き上げられてきたのに「壁」は動かず

2. 「壁」が女性の社会進出を妨げている

 

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