(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書は、相続人の1人に全財産を相続させる内容で作成することが可能です。しかし、このようなケースでの遺言書作成には注意が必要と、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。本記事では50代で亡くなったAさんの事例とともに、1人の相続人にすべての財産を相続させる際の遺言書作成のポイントを解説します。

「妻に全財産を」…亡き夫の望みは叶う?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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■ご相談までの経緯・背景

Aさん(50代)は、亡くなった夫の遺産を相続することになりました。夫は「妻であるAさんに全財産を相続させる」との遺言書を残していたため、Aさんは夫の遺言のとおり、夫の遺産すべてを相続したいと考えました。

 

ところが、その遺言書は自筆ではなくパソコンで作成されており、遺言書としての効力を持たないものでした。

 

なお、Aさんと夫とのあいだには子どもがいない一方、夫の父が健在です。また、夫には疎遠な兄弟が3人います。

 

今回のケースでは、相続人が「Aさん」と「夫の父」の2人となるため、Aさんは夫の父と遺産分割協議を行い、遺産をどうわけるか話し合いを行う必要があります。

 

夫の父は、相続に関する手続きをすでに弁護士に委任していました。Aさんもこの遺産分割についての交渉を弁護士に頼みたいと考え、当事務所にご相談にいらっしゃいました。

 

■解決までの流れ

夫の遺産は、自宅と貸ビルの不動産が大部分を占めていました。弁護士は、相手方弁護士と交渉を行い、夫の父に相続放棄をしてもらう旨の合意を得ることができました。

 

しかし、夫の父が相続を放棄しても、3人の兄弟が次順位の相続人となるため、これだけではAさんが夫の全財産を相続することはできません。そこで弁護士は、3人の兄弟それぞれとも交渉し、相続放棄をする旨の合意を全員から得たうえで、3人の兄弟は家庭裁判所に相続放棄する旨を申述しました。

 

■結果

弁護士の交渉の結果、Aさんの希望どおり、夫の遺産はすべてAさんが相続することができました。

 

相続人が多く家族関係が複雑な場合や、不動産のように公平にわけ合うのが難しい財産が多くある場合は、思いがけず相続トラブルに発展するケースも少なくありません。そのうえ、誰か1人だけにすべての財産を相続させるとなれば、ほかの相続人が不公平に感じる可能性も高いでしょう。

 

では、誰か1人にすべての財産を相続させたい場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか?

 

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