「妻に全財産を」…亡き夫の望みは叶う?
■ご相談までの経緯・背景
Aさん(50代)は、亡くなった夫の遺産を相続することになりました。夫は「妻であるAさんに全財産を相続させる」との遺言書を残していたため、Aさんは夫の遺言のとおり、夫の遺産すべてを相続したいと考えました。
ところが、その遺言書は自筆ではなくパソコンで作成されており、遺言書としての効力を持たないものでした。
なお、Aさんと夫とのあいだには子どもがいない一方、夫の父が健在です。また、夫には疎遠な兄弟が3人います。
今回のケースでは、相続人が「Aさん」と「夫の父」の2人となるため、Aさんは夫の父と遺産分割協議を行い、遺産をどうわけるか話し合いを行う必要があります。
夫の父は、相続に関する手続きをすでに弁護士に委任していました。Aさんもこの遺産分割についての交渉を弁護士に頼みたいと考え、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
■解決までの流れ
夫の遺産は、自宅と貸ビルの不動産が大部分を占めていました。弁護士は、相手方弁護士と交渉を行い、夫の父に相続放棄をしてもらう旨の合意を得ることができました。
しかし、夫の父が相続を放棄しても、3人の兄弟が次順位の相続人となるため、これだけではAさんが夫の全財産を相続することはできません。そこで弁護士は、3人の兄弟それぞれとも交渉し、相続放棄をする旨の合意を全員から得たうえで、3人の兄弟は家庭裁判所に相続放棄する旨を申述しました。
■結果
弁護士の交渉の結果、Aさんの希望どおり、夫の遺産はすべてAさんが相続することができました。
相続人が多く家族関係が複雑な場合や、不動産のように公平にわけ合うのが難しい財産が多くある場合は、思いがけず相続トラブルに発展するケースも少なくありません。そのうえ、誰か1人だけにすべての財産を相続させるとなれば、ほかの相続人が不公平に感じる可能性も高いでしょう。
では、誰か1人にすべての財産を相続させたい場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか?
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