(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国憲法について、ほとんどの日本人は「日本の『最高法規』であり、もっとも強い形式的効力を持つ」という認識でしょう。しかし、東大名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏は、この考えを否定。それどころか、アメリカは日本国憲法を「どうでもいい」と思っているといいます。いったいどういうことか、詳しくみていきましょう。※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

「憲法9条」改憲の是非…多くの議論は見当違い?

政府による情報発信の“100万倍”効果がある「天皇のビデオメッセージ」

【矢作】例えば、「憲法9条が足かせになって日本は自分を自分で守ることができないでいる」という議論がありますが、ここには、「憲法をどう捉えるか」という問題があります。

 

憲法は結局、国際法の下にあります。したがって、国民が本気を出せばという条件付きですが、憲法に縛られることなどありません。その極端な例が昭和天皇です。

 

戦後、昭和天皇は、政治的な動きといえばこれ以上の政治的な動きはないくらいのことをなさった。降伏後6年の歳月をかけて1951年9月8日にサンフランシスコ平和条約が締結されますが、それは昭和天皇が、事実として頼りにならない政府をすっ飛ばして動かれた結果です。すっ飛ばしてというよりは、アメリカの国務省が天皇とこそ話をしたがった、ということなのですけれども。

 

法曹界の人には申し訳ないことですが、憲法などはその程度のものだというふうに思います。使い方は国民の覚悟次第だと思いますね。

 

日本国憲法の第1章は「天皇」です。全部で8条あり、第1条から第7条までの条文はすべて「天皇は」で始まり、天皇には政治的活動を自ら行う裁量がないかのごとくの文言がずっと書かれています。そんなわけはないのです。

 

天皇は日本の家長です。日本国憲法をつくったアメリカは他所の人であり、天皇から大おお御み宝たからと呼ばれる日本国民は家族です。家長である天皇が、その責任を、他所の人や家族だけで決めたことのなかに預けられるわけがないでしょう。

 

現に、だから昭和天皇もそうされました。アメリカの国務省ないし、その下請けのGHQと直接、何度も話し合いをされた結果、サンフランシスコ平和条約の締結にこぎつけました。

 

今の上皇陛下も、2011年の東日本大震災の時は、ビデオを通じたメッセージを出されました。それによりアメリカは、福島沖に待機していた第七艦隊から福島第一原発処理に向けて軍隊の揚陸を開始しました。ビデオを通じたメッセージのその政治的効果は政府の情報発信より100万倍も大きかったわけです。

 

なお、自分たちで憲法を作るということで“憲法改正”の議論をするなら、一度、現憲法を正しいプロセスを経たものにする。それが筋論としては正しい。

 

そのためには、実現可能かどうかは別として、日本国が降伏を受け入れることになったポツダム宣言の受諾まで戻って考えなければなりません。憲法はその国の人間が自主的に制定すべきです。

 

一度、大日本帝国憲法に戻し、正しい動機、すなわち国民が今まで述べたような事実を理解し総意として現行憲法がよい、と確認したあとに然るべき手続きを経て現行憲法を採用するのが筋道であった、と理解しておくことが重要だと思います。

 

もとへ戻って、アメリカだって、現日本国憲法を使える憲法だとは本気では思っていないはずです。

 

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