日本国憲法はアメリカからすれば「どうでもいい」
【宮澤】どうでもいい、ということでしょうね。日本国憲法は、つくってから、強いて言えば昭和26年、1951年のサンフランシスコ平和条約の締結までは使えたかもしれません。
確かに事実としては日米戦争の時期、アメリカは日本と大喧嘩をしていました。1945年の7月に沖縄を制圧したけれども、日本はまだなにをするかわからない。
戦争には、常識あるいはルールというものがあります。兵力の半数が壊滅したら基本的には負けであるから停戦終末点となるわけですが、日本人はそういう常識を無視して、天皇陛下万歳の一点張りで総突撃をかけてくる。アメリカ人は、そんな戦いを見たことがないから面食らったわけです。
日本の軍隊は、負けこそすれ、あまりにも精強でした。強過ぎたんですね。
日本については、他の戦勝国も恐れた。だから、憲法に、いわゆる戦争放棄条項というものを入れました。より正確に言えば、他の戦勝国に、敗戦した日本を好き勝手にされないように安心材料として9条を入れた側面もあったのですが。
しかし、それも当時の状況だからこそです。今のアメリカが日本国憲法をどう見ているかというと、刑事法や民事法などいろいろある実定法の上位法であって最高法規であるという認識はあるにせよ、自分たちが植え付けた憲法によって日本国民を縛っているなどといった意識はまったくありません。
今のアメリカの国内情勢及び対外情勢を見るにつけ、日本とのパートナーシップは非常に重要なものになっていることがわかります。現時はそれが特に大きい。
そんな時に、一緒にちょっとパトロールしようや、とアメリカが言うのに対して、いや、うちはあなた方が押し付けた憲法9条があるから動けないんですよ、なんて言ったら、アメリカだって迷惑です。9条なんていい加減にもう忘れてくれよ、という話です。