(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国憲法について、ほとんどの日本人は「日本の『最高法規』であり、もっとも強い形式的効力を持つ」という認識でしょう。しかし、東大名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏は、この考えを否定。それどころか、アメリカは日本国憲法を「どうでもいい」と思っているといいます。いったいどういうことか、詳しくみていきましょう。※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

思考停止の原発推進は「不敬」

【矢作】天皇陛下が堂々と、いい意味で乗り越えておられるのだから、国民も気づきましょう、と私は思います。

 

そのへんのことについては、東日本大震災のあとに書いた『天皇の国譲位に想う』(青林堂、2017年)という本をお読みいただければと思うのですが、要は、親米保守も反米保守も信じたら最後、事実というものはもはや見ない、というように見えます。

 

天皇陛下がお言葉を述べられた。これが事実であることは子供だってわかる。そこからわかってよ、と思います。

 

本来我が国の“憲法”は、日本国憲法前文の第一パラグラフの終わりに、「……これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅(しょうちょく)を排除する」とあるように、それまでの憲法、法令及び詔勅を尊んできました。

 

つまり、今の日本国憲法も含めて「かかる原理に基づくそれまでの憲法、法令及び詔勅をも尊重する」と前文に加えて“憲法”そのものを慣習法にすれば良いかと思います。

 

まさに天照大御神の三大神勅(「寶祚天壌無窮の神勅(ほうそてんじょうむきゅうのしんちょく)」、「寶鏡同床共殿の神勅(ほうきょうどうしゅうきょうでんのしんちょく)」、「齋庭穂の神勅(ゆにわのほのしんちょく)」)以来、神武天皇の天てん業ぎょう恢かい弘こう東とう征せいの詔みことのり、十七条の憲法、はじめこれまで我が国をかたちづくってきた決めごとを憲法体系として位置付けるのが自然ではないでしょうか。

 

なお、人は見たいものしか見ない、信じたいものしか信じないという視点で言えば、原発事故の収拾を自分たちでできなかったのをすっかり棚に上げてしまった上で、原発推進の議論をする人たちがいまだにいます。

 

原発推進をするためには今回駄目だったここのところをこう変えないといけない、といった話もなにもない。思考停止です。これでは国難を救ってくださった今の上皇陛下に対して不敬です。

 

 

矢作 直樹

東京大学名誉教授

宮澤 信一

国際実務家

 

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※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか?

矢作 直樹

ワニブックス

「日本にウクライナ侵攻の悲劇は起こらない!」……アメリカが諸外国の侵略から日本を絶対に守る理由とは? 東京大学名誉教授の矢作直樹氏と、世界の金融や国際協議の実務にかかわる宮澤信一氏が、6つのキーワードから世界…

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