(※写真はイメージです/PIXTA)

金融機関は、融資をするか否かの判断において取引先企業をどのように査定しているのでしょうか。金融機関で数多くの企業の融資業務に携わった経験をもち現在は行政書士として活躍する黒木正人氏が、著書『企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント』(ビジネス教育出版社)より、わかりやすく整理して解説します。

中小企業に適用される「合実計画」の要件

◆(6)合実計画とは

ここまで読んで金融機関の融資実務を経験している人は、中小企業には「合実計画」が適用されるのではないかと思うでしょう。

 

合実計画とは、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画をいい、監督指針では債務者が中小企業であれば、合実計画が策定されている場合には、実抜計画とみなして差し支えないとされています。

 

合実計画の要件は、下記の通りですが、実抜計画の要件と比べれば相当緩和されています。

 

【合実計画の要件】

(1)経営改善計画等の計画期間が原則としておおむね5年以内で、かつ、計画の実現可能性が高いこと(ただし、計画期間が5年を超えおおむね10年以内となっている場合で、進捗状況がおおむね計画どおり(売上高・当期利益が事業計画に比しおおむね8割以上確保されていること)であり、今後もおおむね計画どおりに推移すると認められる場合を含む)

 

(2)計画期間終了後の当該債務者の業況が良好で、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる状態(自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある状態、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題のある状態のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある状態など今後の管理に注意を要する状態を含む)となる計画であること

 

(3)すべての取引金融機関の経営改善計画等に基づく支援の合意があること(ただし、単独で支援を行うことにより再建が可能な場合等は、当該金融機関の合意で足りる)

 

(4)金融機関等の支援の内容が、金利減免、融資残高維持等に止まり、債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を伴うものでないこと

 

計画期間を5年から10年とし、その計画最終年度までにいわゆる正常先の3要件(「1. 経常利益が黒字になること」「2. 資産超過の状態になること(債務超過から脱却すること)」、「3. 債務償還年数が10〜15年以内になること」)に合致する経営改善計画ができれば、不良債権にならずに済むというわけです。

 

黒木 正人

黒木正人行政書士事務所

行政書士・宅地建物取引士・ファイナンススタイリスト

 

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

企業の持続性を見極める 決算書の読み方と業種別のポイント

黒木 正人

ビジネス教育出版社

会社の安全性・収益性・成長性を読み取り、課題を探す力が身につく書。融資力アップに役立つ主な業種ごとのトレーニング事例も収録。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録