画像:PIXTA

これまで長年に渡り中国からの「再建支援」の名のもとによる多額の融資で債務返済に苦しみ、“債務のわな”に陥っているとして、インドや米国を筆頭に国際社会から懸念の声が多く上がっていたスリランカ。そんななか、中国人民銀行とのスワップ取引が3年間延長されることが明らかとなった。スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う、スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

バングラデシュ、インドからの援助は返済予定

スリランカ中央銀行(CBSL)と中国人民銀行(PBoC)とのスワップ取引は、2024年からさらに3年間延長されることが、国際通貨基金(IMF)との取引承認に伴い公開された文書で明らかとなった。

 

※スワップ取引:あらかじめ決められた条件に基づき、将来の一定期間にわたって金利や通貨等の異なるキャッシュ・フローを交換する取引のこと

 

計画文書によると、中国人民銀行は、今後大きな状況変化がなければ、2024年にスリランカ中央銀行との通貨スワップ協定を3年間延長する意向を示しているという。

 

IMFの予測によると、スリランカ中央銀行におけるバングラデシュ中央銀行との2億米ドル(約262億3,050万円)のスワップ取引は、2023年に返済される予定である。また、インド準備銀行との4億米ドル(約524億6,100万円)のスワップ取引は、2024年に返済される予定だという。

中国とのスワップ取引は…

一方、14億米ドル(約1,836億8,840万円)の中国とのスワップ取引では、総外貨準備高が過去1年間における輸入額の3ヵ月分を下回った場合、使用することが不可能となる。

 

※外貨準備高:国が保有する外貨や証券などの合計額で、外貨建ての借入金の返済など、対外的な支払い能力のこと

 

ある政策金利において、輸入のために準備金(過去の貯蓄)を使用するには、国内の信用需要が高いときに流動性不足を補うべくインフレ的な公開市場操作を必要とする。これが持続不可能な輸入を促すことで、結果として通貨危機を悪化させてしまう。

 

※金融市場において、中央銀行が国債・社債・手形・上場投資信託・REITなどの有価証券を売買することにより、マネタリーベースの量を操作し金利などを調整する金融政策の一手段のこと

 

中央銀行のスワップを輸入に使用することは、中央銀行が対外債務に手を出し、持続不可能な国内信用取引をリファイナンスすることにつながる。

 

「準備高が3ヵ月を下回るとスワップが使えなくなる」という中国人民銀行のルールは、スリランカ中央銀行がさらに負債を抱えることを阻止するためのものだという。

 

インフレによる公開市場操作で外為不足が生じると、金融システムは外為不足に陥り、海外取引や満期を迎えた債務を、以前の為替レートでスリランカ・ルピーの現金流入と交換・決済する能力を失ってしまう。

 

そのため、インド洋に浮かぶ小さな島国(スリランカ)は海外で多額の借金をしてしまう傾向があり、関係者はこの現象を「ブリッジ・ファイナンス」(投資銀行や商業銀行などが買収企業に対して行う短期融資のこと)と呼んでいる。

この記事は、GGOが提携するスリランカのメディア『EconomyNext』が2022年3月27日に掲載した記事「Sri Lanka’s China swap to be extended for three years
」を翻訳・編集したものです。

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