(写真byスリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より)

これまで長年に渡り中国からの「再建支援」の名のもとによる多額の融資で債務返済に苦しみ、“債務のわな”に陥っているとして、インドや米国を筆頭に国際社会から懸念の声が多く上がっていたスリランカ…。そんななか、中国の世界的・巨大石油会社がさらなる投資を行うと発表した。スリランカの政治・経済・金融に関する情報を中心に取り扱う、スリランカ発ローカルメディア『EconomyNext』より翻訳・編集してお伝えする。

予定されている「中国の計画」

中国石油化工集団(中国3大国有石油会社の一つ。別名:シノペック・グループ)は、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領との会談で、スリランカ南部のハンバントタ地区への投資を約束したと、大統領報道部(PMD)が伝えた。

 

この動きは、島国(スリランカ)のすぐ隣国であるインドや米国が中国に対する安全保障上の懸念を強める中、北京が島国の港湾やエネルギー分野への投資を強化しようとしていることを意味する。

 

前政権下でウィクラマシンハ氏が首相だった際、北京が建設した15億米ドル(約1,993億8,300万円)の港を、99年リースで中国国有企業に貸与している。港の周辺に600ha(ヘクタール)の“工業地帯”を建設するという中国の計画があるようだが、まだ実現していない。

 

PMDによると、今月13日(月)に、シノペック・グループの代表とウィクラマシンハ大統領との間で本件について話し合いが行われた。

 

「ラニル・ウィクラマシンハ大統領は、政府が燃料の流通を拡大するという決定を下し、その際にハンバントタが主要なエネルギー拠点として特定された」とPMDは声明で述べた。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

計画するのは「軍事基地」の設置か

一方でスリランカはインドに対し、東部の港湾地区トリンコマリーで南アジアのエネルギー拠点を開発するよう要請している。国営インド石油公社(IOC)はすでに、国営セイロン石油公社(CPC)と合弁し、スリランカ唯一の石油タンクファームをトリンコマリーで開発する契約を締結している。

 

シノペック関係者との会談は、ウィクレミンゲ大統領がトリンコマリーにあるランカ・インド・オイル・カンパニー(LIOC)の石油タンクファーム視察後、石油相と関係者に、トリンコマリーの石油タンクファームを開発し、国の経済活動に取り込む計画を速やかに実行するよう指示した、その10日後に行われた。

 

シノペック・グループは、世界最大の製油会社であり、世界第3位の化学会社でもある。中国最大の石油・石油化学製品サプライヤーであり、中国第2位の石油・ガス生産会社だ。ガソリンスタンドの総店舗数は世界第2位。2021年のフォーチュン誌のグローバル500リストでは5位にランクインしている。

 

中国は数十億米ドルの投資とともにスリランカへの積極的な融資を行っており、同国がハンバントタに軍事基地を設置するのではないかという懸念が高まっている。

 

北京はそのような計画を否定し、スリランカとの動きは常に商業的であったと述べている。

 

米国を中心とする西側諸国は、中国の積極的な融資を「債務の罠」と非難しているが、しかし、中国とスリランカはともに「債務の罠」という非難を否定している。スリランカは現在、債務不履行という未曾有の経済危機に直面している。

 

中国は、スリランカの国債のほとんどが欧米諸国からの借り入れであり、それが債務の罠であり、危機の原因であると非難している。

この記事は、GGOが提携するスリランカのメディア『EconomyNext』が2022年3月13日に掲載した記事「China’s Sinopec eyes refinery investment in Sri Lanka amid rising geopolitical concerns
」を翻訳・編集したものです。

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