(写真はイメージです/PIXTA)

駐車場経営をしていると、無断駐車などの不法行為に巻き込まれる可能性もあります。こうした場合には、駐車場のオーナーとしての適切な対処が求められます。では、もし経営する駐車場に無断駐車をされたらどうすればよいのでしょうか? 本記事では、駐車場経営におけるトラブルとその対処法について、不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が解説します。

駐車場を無断で利用されてしまったら?

駐車場経営にまつわるトラブルとして、契約が満了したにもかかわらず自動車を放置され続けるケースや、そもそもなんの契約もしていない人に駐車場を無断で利用されてしまうケースが挙げられます。このような、無断で駐車されている自動車を撤去するためにはどうすればよいのでしょうか?

 

(写真はイメージです/PIXTA)
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土地所有者に無断で、その土地上に駐車をすることは、土地所有権の侵害にあたります。 無断で駐車された場合は、まずナンバープレート番号などの自動車に関する情報について国土交通省運輸局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に問い合わせをし、無断駐車をしている自動車の所有者が誰であるかを特定します。

 

こうして自動車の所有者を明らかにしたうえで、任意で撤去してもらえるよう、早期の解決を目指して交渉します。交渉では任意撤去が期待できないと判断した場合、民事裁判を行います。民事裁判では、自動車の所有者を被告として、無断駐車している自動車を撤去することを求めます。

 

これに加えて、無断駐車されていることにより、土地の利用をすることができなくなっていますので、駐車場の明け渡しに至るまで継続的に発生する賃料相当の損害金を支払うように求めることも考えられます。 民事裁判で撤去請求を認める判決が出たあとには、当該判決に基づく強制執行を行うように裁判所に対して申し立てを行います。

 

ここで、「民事裁判を行わなくても、無断駐車している自動車を自分で撤去すれば早期に解決するのではないか」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。このように、司法手続によらず実力をもって権利を回復することを「自力救済」といいます。

 

しかし、我が国において自力救済を行うことは禁止されていますし、無断駐車している自動車にも所有者がいる以上、所有者に無断で自動車を取り扱った場合には不法行為が成立する可能性もあります。そのため、自力救済は行うべきではないのです。

まとめ

自分が所有している土地を自動車駐車場の経営のために賃貸する場合には、建物の所有を目的とする土地の賃貸借には該当しないため、借地借家法は適用されません。また、駐車場として賃貸されている土地を買い受けた場合、買主は、契約期間が満了する前でも賃借人を立ち退かせることが可能です。

 

ただし、土地の明渡請求を行っても、無断で駐車場を利用し続けるケースもあります。その際に、所有者に無断で自動車を撤去したりすれば不法行為が成立する可能性もあるため、適切な対処が必要になります。駐車場経営でお困りの方は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
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森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士

 

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