からだのゆがみは慢性的な肩こりや頭痛の原因に・・・
多くの人は、からだにゆがみやねじれが生じています。もちろん程度の差はありますが、
完全に正しい姿勢が常にできているという人はなかなか少ないものです。たとえば、からだのゆがみの例としてもっとも多いのは「肩の左右の高さが違う」というケースです。
たいていの人は、左右どちらかの肩が上がり、もう片方は下がっているものです。左右の高さが違う理由として「かばんを常に同じほうの手で持っているから」「作業をするときに、いつも片方に傾く癖があるから」「ゴルフのときに、同じ腕ばかり使うから」などが考えられます。
さらにいうと、肩の左右の高さが違う原因は「僧帽筋」「広背筋」などの筋肉のバランスの乱れにあります。「僧帽筋」とは、重たいものなどを持つときに肩甲骨が下がるのを防ぐ役割があります。「広背筋」は面積の広い筋肉で、肩関節を動かす働きを持つ筋肉です。
「僧帽筋が張っているほうの肩は上がり気味になり、広背筋が張っているほうの肩は下がり気味になる」という原則があります。肩の左右の高低差は、大きな鏡を見れば一目瞭然です。ぜひ、確認してみてください。また、左右の高低差を放置すると慢性的な肩こりや頭痛のみならず、けがなどのもとにもなりかねません。早く改善しましょう。
ここでは、今の姿勢を一瞬で正しくする方法をご紹介します。
【肩の高さの違いを調べる方法】
① 鏡の前に立ち、両肩を数回上下に動かします。
② 肩から下の力を抜き、自然な姿勢で立ちます。
③ 左右の肩の高さを確認します(目で見てわかるはずです。わかりづらい場合は、左右の指先の位置を確認しましょう。指先が下に下がっているほうの肩が、下がっている
ことになります。もしくは家族などに確認をしてもらうとわかりやすいです)。
④ 片足ごとにつま先立ちになり、前腸骨稜(骨盤)を上げます。上がりやすい側が、肩
が下がっていることになります。
[図表1] 肩の高さの違いを調べる
「こまめにリセット」という発想でエクササイズ
自分の肩のゆがみを確認できたら、肩の高低差を整えましょう。肩の高低さを揃えるとき
には、「下がった肩を上げる」ことを意識します。一瞬できくエクササイズは次の通りです。
【「下がった肩」を上げるエクササイズ】
① 「下がっているほうの肩」の腕をゆっくり後ろに回します(肩甲骨が開くことを意識します)。
② ①の腕をそのまま上へとゆっくり上げます(肩甲骨が動いていることを意識しま」す)。
③ 肩から腕を前方にゆっくり持っていきます。
④ 目いっぱい前方に出したら、ストンと落として脱力します。
⑤ 左右の肩を確認してみましょう。通常、1~2度で左右の肩の高さが水平になるはず
です。なかなか水平にならない場合は、①~④の動きを再び繰り返します。
[図表2] 「下がった肩」を上げるエクササイズ
この「肩の左右の高さの差」のように、からだのゆがみは、誰にとってもよくあることで
す。したがって、現在抱えているゆがみについて、心配をすることはありません。姿勢は、正しく直すことができたとしても、悪い姿勢を少し続けると、再び悪化していくものです。
また、どんなに「姿勢が正しい人」でも、少し悪い姿勢をとっただけで、大きくゆがむこともあります。人のからだである以上「不変である」ということはないからです。むしろ、「姿勢はすぐに乱れてしまう」ととらえて、こまめにリセットしていくという発想に切り替えましう。
からだ全体のゆがみをとるには、前に紹介した「背筋を正しく伸ばすエクササイズ」を行います。このエクササイズは、先に見た肩に限らず、からだ全体のゆがみをとって、姿勢を整えてくれるものです。きちんと行えば、1回で効果が現れます。