(※写真はイメージです/PIXTA)

愛情かけて育てた子どもが大学進学等で独り立ちするとなった際、多くの親が考えるのが子どもへの「仕送り」です。反対に、子が働きはじめ、親が退職するなどして、子が親に対して「仕送り」をすることもあるでしょう。これら、仕送りにおける金銭授受は「贈与」にあたるのでしょうか? 元税務調査官で相続専門40年のベテラン税理士秋山清成氏が、家族間での「贈与」について解説します。

専業主婦(夫)が気をつけたい、家庭内の贈与問題

夫婦や家族は互いに「扶養義務」がある

妻が専業主婦の家族は、夫の収入で生活をしています。そこで、妻が年110万円を超えた買い物や旅行に行ったら贈与税はかかるのでしょうか。

 

その答えは、妻の買い物や、旅行費などを夫のカードで払っても贈与にはなりません。夫婦はお互いに扶養義務があり、妻が着る服や装飾品、資格の勉強や息抜きのための旅行や映画鑑賞など、いわゆる生活をするための出費は、夫婦間における扶養義務の範囲内です。同様に、妻の病気の治療費を夫が病院に払うことも贈与税の課税対象外です。

 

妻が支払うべき毎月の保険料を、夫が妻の口座に振り込むのは、当面は贈与税が課税されることはありません。しかし、将来、保険金が下りたときに、本当の保険料の負担者から保険金の受取人に対しての贈与と認定され、受取人に贈与税が課税される可能性があります。専業主婦(夫)で自身の名義で保険契約をしている人は、自分の保険契約は「名義保険」になっていないかをチェックしましょう。

 

結婚記念日のお祝いに150万円相当の宝石やバッグを妻にプレゼントすることは、残念ながら贈与に値します。なぜなら、結婚記念日は慣習にもとづく金銭のやり取りという側面が薄いので、110万円を超える高額のプレゼントには贈与税が課税される可能性があります。

 

夫の不動産を共有名義にするのは「贈与」にあたる

夫が購入した不動産を夫婦で共有登記するのは、贈与の対象となります。結婚後に不動産を購入する際は、事前に持分を何対何にするのかを話し合い、お互いに設定する持分以上の金額を出すことがないようにしましょう。

 

 

秋山 清成

秋山清成税理士事務所

税理士

 

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※本連載は、秋山清成氏による著書『元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

元国税 相続専門40年ベテラン税理士が教える 損しない!まるわかり!相続大全

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