「空き家」をいますぐ売らないと大損する理由…期限が迫る「3,000万円控除特例」と政府が目論む「固定資産税4倍」【元国税専門官が解説】

「空き家」をいますぐ売らないと大損する理由…期限が迫る「3,000万円控除特例」と政府が目論む「固定資産税4倍」【元国税専門官が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

家を「買う」ときの節税方法として住宅ローン控除がありますが、住宅を「売る」ときにも、節税効果の高い特例がいくつかあります。本記事では元国税専門官である小林義崇氏が、新刊著書『会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて』(PHP研究所)から、家を売るときにかかる税金と、それを抑えるための「特例」について、場面ごとに整理して解説します。

自宅の売却損を確定申告すると還付金をもらえる

ここまでは譲渡所得がプラスになったときに使える特例を説明してきました。ここからは、逆にマイナス(譲渡損失)になった場合の特例を説明します。

 

譲渡所得がマイナスになったときは、もちろん税金はかからず、確定申告や納税をする義務はありません。ただし、自宅を売って譲渡損失が出た場合に使える特例があるため、確定申告をすることで節税をすることが可能です。

 

この特例の条件は複雑なので、細かい条件は国税庁ホームページなどで確認していただきたいのですが、簡単に節税効果について説明しておきたいと思います。

 

譲渡損失が出たときに使える特例には、「損益通算」と「繰越控除」という2つの効果があります。

 

損益通算とは、「他の種類の所得と相殺できる」というしくみです。たとえばサラリーマンの方が自宅を売って譲渡損失が出たら、給与所得と譲渡損失を合算できます。

 

これにより、確定申告をすると給与所得にかかっていた所得税が還付金として戻ってきます。また、翌年の住民税を減らす効果もあります。

 

そして、「繰越控除」は、「相殺しきれなかった譲渡損失を繰り越す」という意味があります。たとえば給与所得500万円の人で、譲渡損失が800万円あれば、相殺しても譲渡損失を使い切れません。

 

この残った譲渡損失を最長3年間繰り越して、その間に得た所得と合算できるのが、繰越控除です。

 

ちなみに、譲渡損失に使える特例には、「マイホームを買い替えて新たに住宅ローンを組んだ場合」と「自宅を売っても元の家にローンが残る場合」に使える2タイプがあります。このうち節税効果が高いのは前者です。

 

後者の場合、譲渡損失の一部しか損益通算や繰越控除ができない可能性があります。

 

この意味では、自宅を売った後に賃貸に住むよりも、再び持ち家をローンで買って住むほうが節税効果は高くなります。

 

また、譲渡損失の特例は、住宅ローン控除と併用することが可能です。売った家について損益通算や繰越控除を使い、買い換えた家について住宅ローン控除を使うことで、さらに節税効果を高めることができます。

 

 

小林 義崇

マネーライター

 

会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて

会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて

小林 義崇

PHP研究所

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