中小企業M&Aはどのように行われる?
専門知識が必要なM&Aは、中小企業が自社だけで進めるのは難しい取引です。専門家へ依頼すると、スムーズに進めやすいでしょう。加えて中小企業のM&Aで活用されるケースの多い手法も紹介します。
専門家の力を借りて進める
自力でM&Aに関するすべての取引を行うのは、現実的ではありません。そこで専門家に相談しますが、相談はできるだけ早いタイミングに行いましょう。
M&Aで会社を売却するまでには多くの工程があり、長い期間が必要なためです。引退直前になってから相談すると、希望していた時期までに引退できないかもしれません。早い時期に相談するメリットとして、選択肢の幅が広がりやすい点が挙げられます。M&Aを意識したタイミングで、できるだけ早めに専門家に相談しましょう。
相談は無料で受けられ、その後M&Aが成功したら成功報酬を支払うという専門家も多いものです。無料なら相談しやすいでしょう。
よく使われるM&A手法
中小企業のM&Aでよく使われるのは『株式譲渡』『事業譲渡』『会社分割』です。3種類の手法の特徴を確認しましょう。
●株式譲渡:会社を丸ごと売却する手法で、会社の株式を売却し経営権を買い手へ移す
●事業譲渡:事業の一部もしくは全部を売却する手法で、買い手は契約を個別に結び直す
●会社分割:事業の一部もしくは全部を分割し売却する手法で、買い手は事業を丸ごと承継する
手法ごとに特徴があるため、M&Aの目的を考慮した使い分けが重要です。例えば借入金も含め事業承継してほしいと考えているなら、資産も負債もまとめて引き継ぐ株式譲渡が向いています。
買い手が見つかったら?
自社を購入希望の買い手が見つかった場合、まずはお互いの条件の確認と交渉が必要です。この段階で合意できたら、買い手は売り手の調査であるデューデリジェンスを実施します。その後、最終契約へ進む流れです。
条件の確認、交渉
買い手が見つかったなら、まずは『トップ面談』を行い、条件を確認し交渉を実施します。十分に自社の魅力を伝えるために、トップ面談を何回も行うケースもあるでしょう。加えて、価格を始めとする売却の条件や売却後の経営方針についても、入念な確認が必要です。トップ面談の段階で疑問点がなくなるよう話し合います。
買い手による調査を実施
次に行われるのは、買い手による詳細な調査である『デューデリジェンス』です。トップ面談で十分に話し合いをしたとしても、売り手会社に不備がないとは言い切れません。買収後に不備が判明した場合、買い手は大きな損失を被ります。そこで適切な価格で買収するための調査が必要です。
調査範囲は法務・税務・財務などあらゆる分野にわたります。詳しい調査には専門知識が必要なため、弁護士や税理士などの専門家に依頼するとよいでしょう。調査の結果、帳簿上に記載されない簿外債務が判明し、価格交渉が行われる場合もあります。
最終契約を締結
調査実施後、必要に応じて価格の交渉を行い、売り手・買い手が合意したら『最終契約』です。このとき締結する契約書では、価格のほかにも表明保証やクロージングの条件など、さまざまな項目が記載されます。
契約書の内容を確認し締結したら『クロージング』の段階です。クロージングでは、買い手から対価の支払いが行われる代わりに、売り手は取引先からの合意を取り付けたり、会社名義の個人資産を経営者が買い取ったりします。
M&Aを理解して売却を成功させよう
中小企業のM&Aは、後継者問題に悩む会社の増加や、社会情勢の変化に伴い、増えている傾向にあります。会社が抱えている問題を解決し、従業員の雇用を守りつつ、会社を成長させられる可能性のあるM&Aを活用しましょう。
また経営者にとっては、対価を得られる点もM&Aのメリットです。場合によっては数億円といった大金を受け取れるかもしれません。
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