※画像はイメージです/PIXTA

ホワイトナイトは、敵対的買収から自社を守るため自社株を買ってくれる買収者を見つけ、買収や合併をしてもらうという防衛方法です。具体的にどのような方法で行われるのでしょうか? 実施する場合の注意点もあわせてみていきましょう。

ホワイトナイトとは

合意がないまま株式公開買付が行われる敵対的買収により、経営者は納得のいかない状況で経営権を失う可能性もあります。そこで防衛策として活用できるのがホワイトナイトです。ホワイトナイト実施時のパートナーとなり得る企業や、国内での事例についても見ていきましょう。

敵対的買収を防ぐ方法

ホワイトナイトは、敵対的買収から自社を防衛するための方法です。敵対的買収の多くは、経営陣の了承を得ないまま、株式公開買付(TOB)によって行われます。TOBで株式の過半数を敵対的買収者が取得すれば、経営権が敵対的買収者に移る仕組みです。これを防ぐ方法として、ホワイトナイトが用いられます。買収の対象となっている企業の経営陣と十分な合意を形成した友好的買収者に、対象企業の株式を取得してもらう手法です。

 

日本の中小企業のほとんどは、株式の譲渡に取締役会もしくは株主総会の承認が必要な『株式譲渡制限会社』です。そのため敵対的買収のリスクはほぼありませんでした。しかし近年は、高い技術力のある中小企業がターゲットとなるケースが増えています。中小企業だからといって無関係ではありません。

パートナーとなる会社の条件

ホワイトナイトを実施するパートナーの条件は『資金力』です。敵対的買収へ対抗するには、多額の資金を用意しなければいけません。そのため大企業がパートナーとなるケースが多いでしょう。

 

豊富なキャッシュで株式の買収に応じる用意がすぐにできる企業であれば、ホワイトナイトを任せられます。また財務状況が良好で、銀行から必要な資金の融資がすぐに実施される企業も、パートナーの条件を満たしています。財務状況は、自己資本や利益・担保用の不動産の有無などで判断可能です。

国内での事例

ホワイトナイトで敵対的買収を防いだケースとして代表的なのが、『オリジン東秀』を『ドン・キホーテ』が買収しようとしたケースです。ドン・キホーテはオリジン東秀との業務提携を模索していましたが、スムーズに進みませんでした。

 

そこでドン・キホーテはTOBによる敵対的買収を実施します。このときオリジン東秀はパートナーとして『イオン』を選び、株式を買い付けてもらうホワイトナイトを実施し、敵対的買収を退けました。数少ない国内の事例の中でも、特によく知られている代表的なケースです。

友好的な買収はどのように行われるのか

敵対的買収から自社を守る友好的買収は、『カウンターTOB』や『第三者割当増資』により実施されます。それぞれどのような方法なのでしょうか?

カウンターTOB

カウンターTOBでは、友好的買収者が敵対的買収者より高い価格でTOBを実施します。TOBはあらかじめ期間・数量・価格を示し、市場外で取引を行う方法です。

 

たとえば敵対的買収者が1株=1500円という価格を提示しTOBを行うなら、買収対象企業のパートナーである友好的買収者は1株=2500円を提示し、株式を買い付けます。より高い株価を示すことで、一般の投資家から買付を行いやすくなるからです。

第三者割当増資

ホワイトナイトとなるパートナーの持株比率を高める第三者割当増資によっても、友好的な買収の実施が可能です。第三者割当増資とは、新株を発行し特定の第三者へ割り当てる方法を指します。この方法により、パートナーの保有する対象会社の株式の持株比率を高められます。敵対的買収者の持株比率を相対的に下げることで、買収対象企業の防衛が可能です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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