デフォルトを変える
あらかじめ設定されている標準の設定のことを「デフォルト」といいます。パソコンの初期設定、初期値などがデフォルト。
ダラダラしている人は、自分が行動するときの「心のデフォルト」の設定が間違えています。
たとえば、ビジネスメールが来たとき、「あとで時間があるときに返信すればいいや」というデフォルト設定をしているから、大切なメールに対して返信を忘れてしまったりするのです。もし自分の心のデフォルトを変えて、「メールは、内容を確認したら、すぐに、その場で返信する」という設定にしておけば、返信し忘れることはありません。
ダラダラしている人は、いろいろな心のデフォルトの設定を間違えているのです。一度、自分がどんなデフォルト設定をしているのか、総点検してみることをおすすめします。
ちなみに、ソフトバンク創業者の孫正義さんは、「48時間デフォルト制」を採用しているそうです。孫さんは、毎日たくさんの稟議書に目を通さなくてはなりませんが、48時間以内に「イエス」か「ノー」かを判断して答えなければならず、かりに48時間以内に意思表示しなかった場合には、自動的に「イエス」となるシステムで仕事をしているといいます。これはうまいやり方ですね。
デフォルトを変えると、私たちの行動は大きく変わります。どんな初期設定をするかは、ものすごく重要なのです。
臓器提供の「初期設定」に見る国別の違い
アメリカでは、「臓器提供はよいことだ」と考える人が85%もいるのに、実際に臓器提供のサインをしてくれる人は、かなり少数です。日本もそうです。
ところが他の国に目を向けてみると、フランスでは99.91%の国民がドナー登録していますし、ハンガリーでは99.97%、ポーランドでは99.50%。ほぼ100%ですよ。いったい、これはどうしてなのでしょうか。
答えを言うと、デフォルトの違い。
アメリカや日本では、自分から「臓器提供に関する意思」を積極的に示さないと、ドナー登録がなされないのですが、フランスやハンガリーでは、「臓器提供はしません」というサインをしないと、無条件で「臓器提供の意思あり」と見なされるのです。
もしデフォルトの設定を変えれば、ドナーの数はあっという間に増えるはずだ、とアメリカ・コロンビア大学のエリック・ジョンソン氏は指摘しています。どんな初期設定をするかによって、人の行動は大きく変わるからです。
デフォルトがゆるくなっていると、どうしてもダラダラしてしまいます。
したがって、あらゆる行動のデフォルトを総点検し、デフォルトを変えてみてください。
「夕方の5時までに仕事を終える」というデフォルトでなく、「夕方の4時までにはその日の仕事を終え、その後の時間は翌日の準備にあてる」といったデフォルト設定にすれば、仕事の能率もあがりますし、ダラダラしないようになりますよ。
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