(※写真はイメージです/PIXTA)

人生の中で、好きなように生きられる時間は限られています。その時間をより効率よく使うために、自身の生活に蔓延る「ダラダラ習慣」、無くしたくありませんか? 「ダラダラ習慣」は、基本的に遺伝ではなく、日々の生活のしかたや、考え方を変えるだけであっという間に変えることができます。「ダラダラ習慣」の原因と解決方法について、心理学者の内藤誼人氏の著書『ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60』から一部抜粋してお届けします。

何をするにしても、必ず一回だけ。

とりあえず何となく仕事を始めてみて、もし気に入らなければあとで修正をすればいいや、と思ってはいけません。そういう気持ちで仕事をすると、本気になれるわけがありませんから。

 

何をするにしても、必ず一回だけ。

 

一回ですべてを完了させてやると思えばこそ、真剣に取り組もうという意欲も生まれるのではないでしょうか。

 

吉田兼好は、『徒然草』の中で、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ」と戒めています。「二回目の矢でうまく当てればいい」と思っていると、初回の矢になおざりの心が生まれてしまうからです。「最初の矢で決めてやる」という気持ちを持たなければダメですよ、という教えなのですが、これは仕事にも当てはまります。

モネの複製版画の心理学実験で分かったこと

たとえば、資料をつくるときには、推敲してはいけません。

 

「一回ですべてを完了させるのだ」と思って取り組んだほうが、絶対によいものができあがります。

 

心理学的にいうと、「もう変更が利かない」ときのほうが、満足度も高くなります。

 

一回だけのほうが、仕事に満足できるのです。

 

アメリカ・ハーバード大学のダニエル・ギルバート氏は、モネの複製版画を5枚用意し、好きな順番に並べてもらいました。

 

それから「3位と4位の複製版画はあまっているので、どうぞ1枚だけ記念にお持ち帰りください」と伝えました。

 

当然、ほとんどの人は自分が3位に選んだものを持ち帰ったわけですが、このときギルバート氏は、一部の参加者には、「あとで気に入らなければ交換もできますよ」と伝え、残りの人には、「もう交換はできない」と伝えました。

 

それから数週間後、自分がもらった絵にどれくらい満足したかを聞くと、「交換できない」と言われたグループの人のほうが自分の選択に満足していたのです。

 

この実験は、『明日の幸せを科学する』(熊谷淳子訳/早川書房)に出ているものですが、「断ちきる」効果を実証しているといえます。

 

何度もあとでやり直しや、取り返しがつくと思うと、人は満足できなくなるのです。

 

仕事をするとき、何となくダラダラしてしまう人は、「一回だけで決めてやる」という意識が薄いのではないでしょうか。二の矢を頼みにしていたら、初回の矢になおざりの心が生まれるに決まっています。

 

かりに何度でも仕事をやり直すことができるのだとしても、心の中では一発勝負だと思っていたほうがいいですよ。そのほうが取り組む姿勢も断然変わってきますからね。

ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60

ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60

内藤 誼人

春陽堂書店

80歳まで生きると仮定して、35歳のあなたの残り時間は約2340週間、55歳のあなたの残り時間は約1300週間しかありません。 限られた残り時間をムダにしないために世界最先端の心理学を武器にすることで、人生をより豊かなものに…

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