「時間は無限にある」という思い込み
ダラダラしてしまう人には、共通してみられる特徴があります。それは、「時間なんていくらでもある」と何となく思い込んでいること。本人には、「時間をムダに浪費している」という意識はありません。時間なんて空気のようにいくらでもあると考えているのです。
無尽蔵にいくらでも手に入ると思えば、「大切に使おう」という意識が生まれるはずもありませんよね。
したがって、ダラダラ時間を減らす第一歩は、「時間がなくなってしまうぞ!」という危機意識を持つこと。人生には終わりがあることを強く意識し、カウントダウンしながら生きるのです。そうすれば、一秒たりとも時間をムダにしたくない、と考えるようになりますよ。
『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著高橋璃子訳/かんき出版)によると、人生をかりに80年とすると、だいたい4000週間になるそうです。人生は、たった4000週しかないのですよ。
「たった4000週!」という事実を知ると、一日一日がものすごく貴重で、大切だと感じませんか。
今、40歳の人に残された時間は、2000週ですよ。そう考えると、少しは慌てるのではないかと思います。
ダラダラする人は、切羽詰まることがないので、ダラダラしてしまうのです。これではいけませんので、残りの人生をカウントダウンしながら生きるようにするのです。そうすれば、ものすごく人生が充実してくるでしょう。
これまでダラダラ生きていた人も、お医者さまから、「余命1年」と宣告されたら、どうでしょうか。おそらくは残された1年間をできるだけ有意義に使いたい、と感じるようになるはずです。
私の残りの時間は……
この“人生カウントダウン・テクニック”の有効性は、実験でも確認されています。
アメリカ・コロンビア大学のクリスティン・レイアス氏は、139人の大学生を2つのグループにわけ、片方のグループには次のように指示しました。
「あなたは30日後に、今住んでいる場所から遠く離れた場所に引っ越さなければならない、とイメージしてください。今の場所に住んでいられるのも残り30日。毎日、カウントダウンしながら生活してください。会いたい人に連絡したり、訪れておかないと心残りになりそうな場所に行ったりしてください」
一方のグループは比較のための条件(コントロール条件)です。こちらには、何の指示も出さず、30日間、毎日の活動の記録をつけてもらいました。
さて、30日の記録をとってもらい、そこからさらに2週間が経過したところで、自分の人生にどれだけ満足しているかを尋ねてみると、「あと30日しかない」というイメージを抱きながら生活していたグループのほうが、はるかに満足度が高くなっていることがわかりました。
人生には限りがあると思っていると、時間の使い方にも気を配るようになりますし、そうすることによって人生を深く味わうことができ、生きている喜びを強く感じられるようになるのです。
「私の残りの時間は……」とたえず意識しながら生活しましょう。ダラダラしているのがもったいない、という気持ちになれればしめたものです。