(※写真はイメージです/PIXTA)

部下がミスをした際、上司の一言で部下の行動は大きく変わってきます。特に、上司は「叱り方」に注意しないとチーム全体の士気が左右されてしまうと、経営コンサルタントの中田仁之氏はいいます。今回は、筆者の経験をもとに、部下を輝かせる「叱り方のコツ」についてみていきましょう。

"許す=強さの証”…筆者が腑に落ちたガンジーの金言

叱ることと同じぐらいに重要なことが「許すこと」だと私は考えています。許すとは、いつまでも根に持たず、叱った後は、すぐに相手の次の行動に視点を切り替えることです。

 

マハトマ・ガンジーの遺した、僕が好きな言葉に次のような言葉があります。

 

『弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証だ』

 

最初にこの言葉に触れた時、まったく意味が分かりませんでした。しかし、社会人になって色んな人とおつき合いしたり、色んな上司についたりして、徐々にこの言葉の持つ深みが分かってきました。

 

野球には「ドンマイ」というステキな言葉があります。何かミスをしても、仲間が「ドンマイ、次は頼むぞ!」「ドンマイ、切り替えていこう!」などと声をかけてくれることで、ミスを引きずらなくなります。

 

アメリカのメジャーリーグでは「ドンマイ」のことを「NEW DAY」と言うそうです。また新しい日が来る、ミスを引きずらないで切り替えていこう! という意味だそうです。

 

一方、仕事でたとえばリーダーであるあなたがミスをした時、上司から長々と叱られた経験はありませんか?

 

ミスしたのは自分なので、その人のお説教が収まるまでじっと耐える。こんな光景、御社ではありませんか? 私には何度も経験があります。

 

私が会社員で課長をしていた時の話です。私のケアレスミスで、課の売上数字を狂わせてしまったことがありました。すぐに上司に謝罪した時、一言こう告げられました。「らしくないなぁ。次頼むぞ、以上!」

 

この言葉は刺さりました。「らしくない」は、こう変換できます。「普段のお前ならこんなミスするはずがないのに、お前らしくないなぁ」つまり、自分のことをもっと高いレベルで信頼してくれている、ということを感じました。この上司はこの後、さらに上の人から叱られるのが分かっているのに、部下の私に対してはクドクド言わず前を向かせてくれました。

 

後日、上司の席へ行きあらためてミスをお詫びするとともに、「らしくない」の一言が嬉しかったとお礼を伝えました。

 

すると上司は「あの場面で、俺がキミを叱ったとする。その姿を他の課員も皆見てるはずや。君は叱らなくても十分自分で分かっていたやろ? 自分で分かっているのに、叱られている姿を晒されたら余計にツラいし、後々仕事がやりにくくなるやん」と笑い飛ばしてくれました。

 

この上司は、私との1対1の関係だけではなく、やり取りを見ている他の課員の眼も意識して、且つ今後の私にまで目配りをして許した、というのです。

 

『弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証だ』この言葉が腑に落ちた瞬間でした。この件があってから、「らしくないなぁ」は私の頻出ワードになっています。

 

リーダーの立場で大事なことは「相手を信じて、成長の糧にしてもらうこと」だと私は考えています。つまりミスを叱り直し方を教えることも重要ですし、ミスを活かすために許し方もポイントなんです

 

ミスを叱り、直し方を教えた後はすぐに許すこと、その時の言葉も短く、相手が切り替えられるようにそっと背中を押してあげることがリーダーには求められています。

 

 

中田 仁之

株式会社S.K.Y.代表取締役

中小企業診断士

 

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※本連載は中田仁之氏の著書『困った部下が最強の戦力に化ける すごい共感マネジメント』(ユサブル)より一部を抜粋し、再構成したものです。

困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント

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中田 仁之

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