現金で持っていては「節税効果」はゼロ
【テクニック1】
節税効果ゼロのキャッシュを節税効果の高い不動産に換える
キャッシュはその額面がそのまま相続財産評価となってしまうため、節税効果はゼロです。資産に高額のキャッシュがあり、相続税が心配だという人は、別のもっと節税効果の高い資産に換えて持つのが、節税の点からは有利になります。
ただし、何でもかんでもキャッシュを減らせばいいかというと、それも危険です。なぜなら、キャシュがないと困る場面もあるからです。たとえば、相続人が相続税の納税資金として使える分の現金が残っていないと困ります。あるいは、あなたが老後を生きていくための生活費も必要でしょう。
まずは、将来的にどれくらいのお金が必要になるかをシミュレーションしてみることが大事です。そして、最低限必要なキャッシュは手元に確保しておき、余力のある分を別の資産に組み替えていくことを考えましょう。
現金を土地・建物に換えて相続税評価を圧縮
①キャッシュを不動産に換える
節税効果の高い資産としては不動産があります。土地は基本的に路線価で評価します。路線価は毎年変わるものの、土地取引の指標となる公示地価(地価公示価格)のおよそ8割程度の価格となることが多いようです。したがって、1億円で買った土地は相続時には8000万円くらいの評価になるということです。キャッシュを土地に換えるというごくシンプルな対策をしただけで、約2割の資産圧縮ができることになります。
建物については、固定資産税評価になります。1億円の家なら建てた瞬間から6000万円とか7000万円くらいに下がります。そして、時間が経つほど資産的価値が落ちて、評価が低くなっていきます。
タワーマンション節税というのを耳にすると思いますが、これも不動産を使った節税テクニックの一つです。マンションは一つの土地にたくさんの住戸が立っています。住戸一戸あたりの土地の専有面積が狭いので、都心の地価の高い地域にあっても評価への跳ね返りが少なくなります。
さらに、これまでは低層階でも高層階でも固定資産税評価額は同じでした。市場人気の高い高層階を買っておけば、相続のときには評価額が低くてお得になり、いざ売却や賃貸をするときには高く売れたり貸したりできてお得という、W効果があったのです。
ただ、あまりにもタワーマンション節税が流行したために、国はタワーマンションの評価額の見直しに取りかかり、2018年頃には中層階を基準として高層階は評価を高く、低層階は評価を低くする方向で検討を始めました。
しかし、2020年には東京オリンピックもありますし、海外から日本へ移住してくる外国人も増えています。資産的価値という意味でも所有するメリットは大きいでしょう。資産家にとっては、タワーマンションは今後も引き続き、大きな節税策になることは変わりません。