サーチファンドの仕組み
サーチファンドの仕組みについても確認しましょう。買収企業の候補を探し、さまざまな手続きを行うのはサーチャーの役割です。一方投資家は、サーチャーへの出資を通して、企業買収に関わります。
サーチャーが買収企業の候補を探す
買収する企業を探すのは、サーチャーの役割です。候補を挙げ、交渉を実施し、デューデリジェンスで詳細を調査するのも、サーチャーが担当します。
どのような企業を買収のターゲットにするか、買収すべき企業をどのように判断するかなどは、サーチャーの腕の見せどころといえるでしょう。
サーチャーが経営者として参画することで、企業価値を高められる見込みがあるか考えることも重要なポイントです。万が一、適切な買収先が見つからない場合には、ファンドはクローズとなります。
投資家によるサーチャーへの出資
一方、投資家の役割はサーチャーへの資金提供です。投資家が資金を提供するか判断するタイミングは、以下の通り2回あります。
1回目:ファンドが組まれるとき
2回目:買収する企業が見つかったとき
1回目は買収する企業を探す期間に対する出資、2回目は買収に対する出資です。2回目は1回目の出資割合に応じて、出資する権利が与えられます。投資判断をする2回のタイミングがあるため、サーチャーの能力を見極め、優秀な人材への投資が可能です。その後買収が完了すると、配当や上場などにより利益が分配されます。
譲渡会社にとってのメリット
サーチファンドによる企業の買収は、対象の譲渡企業にとってもメリットのある方法です。後継者がおらずこのまま廃業するはずの企業であれば、廃業を避けられます。後継者となる人物を直接見極め、熱意ある人材に承継できるのも利点です。
廃業を回避できる
親族内に後継者となる人物がおらず、これまでライバルだった競合他社に買収されたくない場合、企業は廃業するしかありません。廃業にはさまざまなデメリットがあります。
従業員を失業させてしまうことに加え、取引先の状況によっては連鎖倒産の可能性もあるでしょう。企業がなくなることで、地域経済にも影響を及ぼします。
また廃業には費用がかかり、資産を売却するにしても、安く見積もられてしまいがちです。これまでの努力の結晶ともいえる事業がなくなってしまい、つらく感じる人もいるでしょう。
サーチファンドによる買収を選べば、企業を存続させられます。デメリットの多い廃業を選ばずに済む方法です。
熱意ある人材を後継者にできる
サーチファンドでは、後継者となるサーチャーが、じかに買収対象企業とやりとりします。そのため現経営者は、サーチャーの人柄や能力を判断した上で、後継者としてふさわしい人物か見極めが可能です。
十分な熱意があることはもちろん、社風や社内のキーパーソンとの相性なども見た上で企業を任せられるため、現経営者は安心して引退できるでしょう。
事業承継が進む可能性を秘めている
後継者不足が深刻な日本の中小企業は、黒字であるにもかかわらず廃業するケースが増加するといわれています。そのような事態の対策として役立つと考えられているのがサーチファンドです。
経営者を目指すサーチャーが買収する企業を探し、交渉を実施し、投資家から出資を受けて買収します。サーチャーにとっては、莫大な買収資金を用意するリスクを負わずに経営者になれる方法です。
投資家は少ない資金で優秀な人材に投資でき、譲渡企業は熱意ある人材に後を任せることで廃業を避けられます。上手に活用することで、廃業するはずだった企業の事業承継が進むかもしれません。
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