実はめちゃくちゃ相性がいい「中小企業とYouTube」
私が企業アカウントやビジネス系アカウントに特化したYouTubeプロデュース事業に乗り出して2年あまり―。最近つくづく思うのは、YouTubeは大手より中小企業に有利なメディアだということです。
この2年間で、誰もが知る大手企業から中小企業まで、大小さまざまな企業から問い合わせをいただきましたが、実際に受注いただき成果を出しているのは、圧倒的に中小企業や個人事業主です。
というのも、大手はとにかく腰が重い―。
初回のミーティングにこぎつけるだけでも大変ですが、こちらから具体的な提案書を出したあとも、何人もの担当者や上司がゴーサインを出さないと先に進めなかったり、決算のタイミングが邪魔をしたりして、「やるかどうか」を判断するだけで4か月かかったケースもありました。
その点、中小企業は社長さえその気になれば即動き出せます。流行の移り変わりが激しく、スピードが命のYouTubeにおいては、意思決定が速いことはそれだけで大きな武器になります。
また、大手広告代理店と懇意であることも、大手企業の足を引っ張っているように思えます。
たとえば月500万円の予算で大手代理店に制作や運用をお願いしたりすると、YouTubeにおいてはたいてい失敗します。代理店は月500万円に見合うものを納品すべく、立派な機材を使ってハイクオリティな動画を撮ってしまう。
でも、YouTubeの視聴者は手作り感のある動画を好む傾向にあるので、テレビのように洗練された動画は逆に伸びないのです。
予算をかけて立派なものを作るという大手の勝ちパターンが通用しないところに、中小零細企業や個人がスマホ1台で乗り込んで勝ちをさらっていけるのが、YouTubeのおもしろいところといえるでしょう。
画質だけではなくコンテンツの内容そのものも、大手より中小の方がおもしろいものを作れる可能性が高いと思います。
どんなジャンルでも、YouTubeでは上品で優等生的な動画よりも、粗削りで俗っぽい動画の方が人気が出ます。YouTubeの視聴者は、建前やキレイゴトではなく、人間の本音や本性をさらけだしたような動画を見たがっているのです。
ところが大手企業や老舗企業の多くは、建前を崩すのをいやがります。炎上リスクをおそれすぎて、当たり障りのない、おもしろみに欠ける動画を作ってしまいます。担当者が冒険しようとしても、上層部からストップがかかります。
かたや中小企業にはそれがない。社長や広報担当者の裁量で攻めたコンテンツを発信できるのは、中小企業の特権なのです。
大原 昌人
株式会社ダニエルズアーク
代表取締役・YouTubeプロデューサー
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