個人から消費者へ、「P to C」でものを売る時代になってきた
なぜこれほどYouTube経由でものが売れているかといえば、最近の消費者は「好きな人や信頼している人から買いたい」と考える人が増えているからです。
ひと昔前まで、商品はお店や企業から買うものでした。それがいわゆる「B to C」(Business to Consumer)のビジネスモデルです。ところが昨今では、個人が企画・制作した商品やサービスを直接消費者に販売する「P to C」(Person to Consumer)のビジネスが急速に発達しているのです。
「P to C」における売り手Pは、YouTubeやSNSで多数のフォロワーをもつインフルエンサーです。サワヤンチャンネルの二人やヒカルさんもまさにこのパターンで、YouTubeで培った認知を武器にブランドを構築し、ファンに向けて自分の商品を販売しています。
企業がYouTubeチャンネルを立ち上げ、YouTube経由でものを売る場合は、厳密には「B to C」もしくは製造企業が消費者へ直接販売する「D to C」(Direct to Consumer)ということになるでしょう。
ただし消費者の感覚としては、会社からではなく個人から買っている。ヒカルさんのアパレルブランドだって当然法人化しているわけですが、彼のファンはそのアパレル企業からではなく、ヒカルさん本人から「P to C」で買っていると認識しているはずです。
演者は「校長先生」ではなく「おもしろい先輩」になりなさい
「P to C」でものが売れていく現代、YouTubeからエンド商品に誘導できるかどうかは、演者の人間的魅力にかかっているといってもいいでしょう。視聴者が演者に好感を持ち「この人から買いたい」と思わなければ、集客効果は見込めません。
といっても、演者に特別なカリスマが必要というわけではありません。
YouTubeで視聴者の心をつかむ最大のポイントは「親近感」です。
直近で伸びているチャンネルの演者は、ほとんどが身近にいそうな等身大のキャラクターを売りにしています。これは、ここ半年くらいのトレンドといえる現象です。
2021年頃まで、ビジネス系ユーチューバーに求められるのは親しみやすさよりも「権威」でした。
若手起業家や「〇〇先生」と呼ばれるようなその道のスペシャリストが、肩書にふさわしい権威をまとって視聴者に語りかければ、それだけで再生がまわっていました。
ビジネス系チャンネルの演者はこぞってそのスタイルを踏襲したので、界隈には「〇〇先生がまじめに解説する系」のハウツー動画があふれかえりました。
ところが2022年の半ば頃から、そのやり方では再生回数が増えなくなってきたのです。あまりにも似たような動画が増えすぎて、視聴者が飽きてしまったのでしょう。
代わって台頭してきたのが、権威ではなく親近感を前面に打ち出した動画です。「先生」の立場で語るスタイルから、ほんの少しだけ視聴者の先をいく「先輩」のポジションでやさしく説明するスタイルへと、トレンドがシフトしたのです。
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