(※画像はイメージです/PIXTA)

お得な相続対策の制度として主に富裕層に人気があった「教育資金贈与」の非課税制度がまもなく2023年3月末日に期限を迎えます。4月以降も延長されますが、内容は大幅改定され、相続税対策のメリットは大幅に失われることになります。ちょうど新学期・新入学シーズンを控え、今が最後のチャンスといっても過言ではありません。本記事では、今月中に現行の「教育資金贈与」の非課税制度を利用するメリットについて解説します。

教育資金贈与とは

教育資金贈与とは、30歳未満の「孫」等の「直系卑属」に対し1,500万円以下の金額を「一括贈与」した場合、一定の要件をみたせば、孫等の贈与税が非課税となる制度です。

 

もともと、2013年4月から、2019年3月までの期間限定の制度として始まり、これまで2回延長され、現行制度の期限は「2023年3月末日」となっています。

教育資金贈与のメリット

生前に一括してまとまったお金を贈与しておけば非課税になるということで、これまで、主に富裕層の相続税対策として活用されてきました。

 

すなわち、孫等に対し、自身が亡くなった後の分まで贈与でき、しかも、そこに相続税がかからないという点が、相続税対策として機能してきました。

 

しかも、教育資金贈与の特例は、贈与税の2通りの納税方法である「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」のどちらを選んでも利用することができます。

 

「2023年度税制改正」において、2023年4月以降も継続されることが決まっています。しかし、改定が行われ、相続税対策のメリットが著しく制限されることになりました。この点については後ほど改めて述べることとします。

現行制度下で教育資金贈与が非課税となる要件(2023年3月末まで)

現行制度の下で教育資金贈与が非課税となる要件は、贈与を受けた孫等(受贈者)が「教育資金口座の開設等」を行うことです。「教育資金口座の開設等」は以下の3つのいずれかです。

 

【教育資金口座の開設等】

1. 金融機関等との契約に基づく「信託受益権」を取得する

2. 「書面による贈与」により取得した金銭を銀行等に預入する

3. 「書面による贈与」により取得した金銭等で証券会社等において有価証券を購入する

 

また、孫等(受贈者)は、金融機関等を通じて最寄りの税務署に「教育資金非課税申告書」を提出しなければなりません。

教育資金の使い道(現行制度の要件)

孫等(受贈者)は、贈与を受けたお金を所定の使い道にのみ使うことができます。大きく「学校等への支払い」と「学校等以外への支払い」に分けられます。

 

【学校等への支払い】

1. 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学・入園試験の検定料

2. 学校等における教育に伴って必要な費用(学用品購入費、修学旅行費、学校給食費等)

 

【学校等以外への支払い】

3. 学習塾・そろばん塾当に関する役務提供の対価や施設使用料

4. スポーツ、文化芸術等の習い事の指導の対価

5. 「3. 」の「役務提供」、「4. 」の「指導」で使用する物品の購入費用

6. 「2. 」に充てるための金銭であって学校等が必要と認めたもの

7. 通学定期券代、留学のための渡航費等の交通費

 

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