(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年3月2日現在、ある「経済産業省令」がパブリックコメント(意見公募手続)にかけられています(期限は3月10日(金))。その内容は、インボイス制度の施行によって電力会社に損失が発生することになるため、それを「電気料金の値上げ」によってカバーするというものです。どういう意味なのか、問題点も含め解説します。

パブリックコメントにかけられている「省令案」の2つの問題点

この省令案には、以下の2つの問題点が指摘されます。

 

・電気代の値上げにつながる

・他の事業者との間で公平性を欠く

 

◆問題点1|電気代の値上げにつながる

まず、上述したように、インボイス制度施行によって電力会社が損失を受ける額については、電気料金の一部である「再エネ賦課金」(再生可能エネルギー発電促進賦課金)に上乗せして、一般契約者から徴収することになります。

 

では、いくらくらいになるのでしょうか。

 

2月18日の衆議院予算委員会における資源エネルギー庁長官の答弁によると、「仕入税額控除できないことにより『やむをえず』発生する負担」の額は以下の通り、総額58億円です。

 

・10kW/h未満の太陽光発電設備:15億円

・10kW/h以上の太陽光発電設備:39億円

・その他の再生エネルギー:4億円

 

総額58億円を填補するとなると、「1kW/hあたり0.007円」の値上げになるとのことです。

 

ただし、この試算はあくまでも「機械的に行ったもの」とのことであり、インボイス登録の進捗がはかばかしくない現状も考慮すると、この金額はさらに大きくなる可能性があります。

 

◆問題点2|他の事業者との間で公平を欠く

第二に、他の事業者との間の公平を欠くのではないかという問題が指摘されています。

 

インボイス制度が施行された場合、免税事業者との取引において従来通りの「仕入税額控除」ができなくなるのは、大手電力会社だけではありません。他の業種でも同様の問題が生じます。

 

しかし、電力会社の損失についてだけ、電気料金への転嫁という形で損失の補てんがなされるというのは、他の業種との関係で公平を欠く疑いが指摘されています。

 

これらの問題点については、国民に十分に周知されているとはいい難いのが現状であり、国会・政府には、慎重な検討が求められます。

 

「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメントの受付締切日時は2023年3月10日(金)いっぱいです。

 

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