デメリット① 相続時精算課税を選択すると、暦年贈与による非課税制度が利用できない
一度、相続時精算課税を利用すると暦年贈与による非課税制度が利用できません。
贈与を長期間にかけて行った場合には暦年贈与による非課税制度を利用した方が税額を低く抑えることが可能になる場合もあるため、事前にシミュレーションをしてどちらが有利になるか計算すべきです。
デメリット② 相続時精算課税を利用した場合、小規模宅地等の特例が利用できない
小規模宅地の特例は相続時に要件を満たしていれば税額を安く抑えることができる制度になります。
しかし、相続時精算課税を利用した場合には、要件を満たさなくなるため、この制度が利用できないため、注意が必要です。
デメリット③ 贈与を受けた年の翌年には申告をする必要がある点
相続時精算課税を利用した場合には、贈与を受けた年の翌年には申告手続きが必要になるので、事務負担が増大する点が挙げられます。
以上のデメリットを考慮した場合でも保有している賃貸不動産の価額が低く、相続税の基礎控除以下の相続財産のみである場合は、そもそも相続税が発生しないため、暦年課税を利用して贈与するよりも、相続時精算課税が有利な場合があります。
相続時精算課税制度を受けるための手続きとは? どのような書類が必要?
相続時精算課税を利用するには申告手続きが必要であることは上述した通りですが、手続きの流れとしては以下の通りです。
①申告期限を把握しておく
相続時精算課税を利用した場合の申告期限は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、申告手続きをする必要があります。
②贈与税を計算する
次に贈与税額を計算します。
贈与税額は、贈与された財産の価額から2,500万円を控除した金額に対して20%の税率を乗じた金額が納めるべき贈与税額となります。
③必要書類を準備する
最後に必要書類を準備します。
必要書類は、贈与税の申告書の他に添付書類として、相続時精算課税選択届出書を準備します。
その他に、受贈者が子どもや孫である場合には、受贈者の戸籍謄本や抄本などといった、氏名、生年月日、贈与者との続柄が確認できる書類を準備する必要があります。
孫が使える相続時のその他の特例を紹介!
相続時精算課税制度以外にも孫へ財産を承継させる際に適用できる特例として、小規模宅地の特例が挙げられます(上述しているように相続時精算課税制度と同時の適用は不可)。
小規模宅地の特例とは、生前に被相続人が居住または事業に使用していた土地について、一定の要件を満たしていれば、相続税評価額が大幅に減額される制度です。
自宅などの特定居住用宅地等の場合には、330㎡までの面積であれば80%の減額を受ける事が出来るため、相続税の節税に大きく繋がります。
相続時精算課税を使った方が良いケースは、上述したように不動産などの評価額が低く、相続財産も基礎控除範囲内であることが見込まれる場合です。
逆に評価額が高い場合には、暦年贈与により不動産以外の現金・預金等の贈与を行い、徐々に財産を少なくしてった方が相続税が少なくなることが多く、このような場合には相続時精算課税を使用しない方が良いです。
相続時精算課税制度に関しての相談先は?
相続時精算課税制度に関して相談したい場合には、税理士へ相談する必要があります。
また、相続時精算課税制度・暦年贈与ともに令和6年1月1日から制度の大幅な変更が予定されているので、変更予定の内容を聞き最新の情報をキャッチし、有効な相続対策をしましょう。
ただし、実際に相続が発生した場合、どこへ相談したら良いか分からない方もいるかと思うので、まずは相続診断士へ相談するのもおすすめです。