(※写真はイメージです/PIXTA)

「小規模宅地等の特例」は、相続した土地にそのまま相続税をかけてしまうと、引き継いだ相続人の生活を脅かすリスクが高まると考えられたため、それを防ぐために設けられた特例です。この制度の賢い活用法について、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』から、株式会社スリーウェイズの宅建士兼FPである松本直之氏が監修した記事を一部編集してお届け。「相続における小規模宅地等の特例」について理解し、相続の不安をなくしましょう。

小規模宅地等の特例が受けられないケースも…

ここでは小規模宅地等の特例の適用外となるケースを2つ取り上げましょう。

 

宅地等を引き継ぐ相続人子Aは、被相続人の住所地に住民票しか移していない

被相続人と仲が良い親族でも、生活の本拠が別にあり、住民票だけを被相続人の住所地へ移しているだけでは特例の適用外です。

 

子Aは申告期限まで宅地等へ居住し、所有している必要があります。また、被相続人と別居していて、被相続人の様子を見に定期的に何回か被相続人宅へ泊まっていた、という場合も適用外です。

 

なお、子Aではなく被相続人の配偶者が引き継ぐ場合に限っては、無条件で本特例が適用されます。

 

宅地等を引き継ぐ相続人子Bは以前、対象宅地上の所有家屋を被相続人へ譲っていた

宅地を引き継ぐ子Bがずっと前から賃貸住宅に住んでおり、被相続人に配偶者・同居の相続人がいなかった場合、一見「家なき子特例」を利用し、相続税評価額の減額ができそうに思えます。

 

しかし、何らかの理由で以前、対象宅地上にある子Bの所有家屋を被相続人へ譲り、相続で譲渡した家屋が再び戻ってきたという経緯なので、家なき子特例は適用できません。

 

相続における小規模宅地等の特例の注意点を解説

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

小規模宅地等の特例の申告を望んでいるのに、いろいろな事情によりなかなか準備が整わないという事態も想定されます。ここでは申告の際の注意点を取り上げます。

 

特例適用のための手続き期限

小規模宅地等の特例は、相続税の申告と共に相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内の提出が求められます。

 

ただし、複数の相続人がおり遺産分割をどうするかで揉めてしまい、相続税の申告期限内に手続きが難しい場合もあります。

 

期限内の提出が難しいと判断したら、期限内に相続税の申告書と「遺産分割協議の分割見込書」をいったん提出しましょう。

 

遺産分割協議の分割見込書を添付すれば、相続税の申告書の提出期限から3年間、遺産分割協議書の提出が猶予されます。猶予期間内に遺産分割協議書を提出できれば、小規模宅地等の特例も問題なく適用されます。

 

介護施設へ入所していた際の証明

特例が適用されるためには、申告の際に次のような事実を証明しなければいけません。

 

・被相続人が要介護認定または要支援認定を受けていた

 

・自宅を賃貸していなかった

 

・利用していた介護施設が生活の本拠でない

 

その事実証明のため税務署に基本的な添付書類の他、次の書類を追加する必要があります。

 

・介護状態に関する証明書類:要介護認定証、要支援認定証、障害福祉サービス受給者証等

 

・介護施設等の利用内容・期限等が明記された書類:施設入所契約書の写し等

 

・被相続人の戸籍の附票の写し:本籍地の市区町村役場から取得、なお相続開始以降に作成されたものが必要

 

 

後藤 光

株式会社サステナブルスタイル

代表

 

松本 直之

株式会社スリーウェイズ 

宅地建物取引士・FP

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』からの転載記事です。

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