世界から見た日本経済
世界から見た日本の状況を把握する指標の1つであるGDP(国内総生産)。
1968年〜2009年まで日本はアメリカに次いで世界第2位だったものの、2010年には中国に抜かれ第3位となりました。さらに、2022年にはウクライナ情勢の悪化や円安の影響などによりマイナス成長に陥る状態となり、4位のドイツとの差はわずか17%となりました。
米国の金融政策やロシア経済の関係、さらに中国のロックダウンの影響など、世界経済の動向が日本に大きな影響を与えています。世界から見た日本経済の今後について考えてみましょう。
■TOPICS
日本は、G7トップクラスの貧困?
「日本=貧困」といわれても、ピンとこない人も多いと思います。ですが、実は2018年の時点ですでに国内の18歳未満の子どもの貧困率は15.7%を記録。これは、G7で最悪の値です。また、母子家庭世帯の約半数が貧困世帯、60歳以上高齢者の約20%が貧困状態というデータもあります。
世界から見た日本は豊かな国? それとも……
国の経済力を評価する指標の1つとして名目GDP(国内総生産)があります。IMF(国際通貨基金)による2020年のGDPランキングでは日本は世界3位。これだけをみると日本は経済大国に見えます。
しかし、このGDPは一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額で、人口の多さに影響されます。「日本は小さな島国だから人口は少ない」と思っている人もいるかもしれませんが、実は世界38の先進諸国で構成されるOECD(経済協力開発機構)の中で、アメリカに次いで2番目に多い人口を擁しています。
そこで、国の豊かさを比較する目安として用いられるのが、GDPを人口で割った「一人当たりGDP」です。
国民一人当たりの平均な経済力・生活水準を示すものとされており、2021年のランキングで日本は世界28位となっています。2000年には世界2位まで上昇していたことを考えると大きく後退していると言えます。
その要因として挙げられるのが、産業改革の遅れ、国内購買力の低下、労働賃金の低さの3つです。
まず、産業改革の遅れについてですが、例えばかつて日本が世界をリードしていた携帯電話などの通信機器の分野では中国や台湾にその座を奪われ、もはや日本がシェアを奪還するのは難しい状態になっています。
それに付随して半導体製造の分野でも、台湾や韓国が大きくリードしています。一方自動車産業はまだ上位をキープしているものの、電気自動車への転換が急速に進む中で、その座も危うい状況です。
さらに、原油価格の高騰でクローズアップされることとなった再生可能エネルギーの開発においても、欧米や中国から大幅な遅れをとっており、「もはや日本は先進国と言えないのでは」という意見も目にするようになりました。