香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
米個人消費支出(PCE)が前年同月比5.4%上昇
2023年2月22日 1ドル=134.19
2月は米国経済の堅調な足取りを示唆する経済指標が相次ぎ、金利が上昇、株式市場は調整局面を迎えている。1月の雇用統計や小売売上高が改善していることで、米FRBが、踏み込んだ政策決定をする可能性も取りざたされている。
3月に開催されるFOMCでは、25bpsではなく、50bps幅での利上げを支持するFRB高官発言も出てきており、インフレ圧力が根強いことで、ターミナルレートは1月に予想されていた水準から25bps切り上がり、金利が高止まりする期間もより長期になることを金融市場は警戒している。
米商務省が23日発表した22年第4・四半期のコア個人消費支出(PCE)価格指数は前年比4.3%上昇と速報値から0,4%上方修正された。そして、24日に発表された1月の個人消費支出(PCE)も前年同月比5.4%上昇と、伸び率は前月から加速した。やはり、物価動向が鈍化に至るには、市場が想定している以上に時間を要するということだろう。
今週に入って米ドル金利は上昇し、特に政策金利に敏感な米国2年債利回りは昨年11月につけた16年ぶりの高値に迫っている。一方、先週に1980年以来で最大を記録した米国債10年利回りと米国2年債利回りの逆イールド幅は、力強い米国経済が再確認され縮小する動きがみられている。インフレ動向を手がかりにすると、マーケットにとっては厳しい環境が当分続くと推測される。
Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者
国際金融ストラテジスト <在香港>
京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)
シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。
● 個人公式サイト
「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)
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連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」